ICTを活用したLD傾向の子どもへの学習支援

以前のブログで、

ICTを活用した学習支援や不登校支援

についてお話ししました。今回は、

ICTを活用したLD(学習障害、以下LD)傾向の子どもへの学習支援

についてお話ししたいと思います。

ICT機器の大きな特徴の一つとして、

音声や写真・動画などを記録(記憶)することに力を発揮

するものが多くあると言えるでしょう。これらを活用することで、

・メモの代わりに録音機器に声で録音する

・スマートフォンなどのカメラ機能で板書された内容を

一時的に写真で保存する

など、LDを抱え、読むまたは書くことに困難をきたしている方にとって

有効な支援のツールになる場面が増えてきています。

徐々にではありますが、LDのお子さんへの具体的な支援方法として

学校教育に取り入れているところもあります。

また、文字を書くことが苦手でも、

キーボード入力ならスムーズにできる

といったケースも少なくありません。書字障害を抱えた方が、

国立大学のAO入試にパソコン(ワープロソフトでの文字入力)を使用

することを認められ、見事合格することができた、といった例もあります。

LDとは別の種類にはなりますが、人前で発言をすることが苦手だったり、

発声障害や緘黙(かんもく)などを抱えていたりする場合には、

・自分の意見をICT機器などを用いて文字にし、

 画面に表示して相手に伝える

・タブレットなどを利用してアンケートに答え、

 アンケート結果をスクリーンに匿名で表示する

・クイズ番組のように答えを一斉表示するなど、

 コミュニケーションをとりつつ学習活動に参加する

ことも可能にします。

しかし、ICT機器の導入には

非常にコストがかかることや、

ICT活用教育に理解が完全に浸透しているとは言い難い

といった課題が残っています。

「みんなは書いて覚えているのに不公平ではないか」

「ほかの人よりも多く書いて覚えればよいだろう」

教育現場や周囲からの意見として、こうした声も耳にすることがあります。

しかし思い返してみれば、

打ち合わせ内容をカメラで撮影したり、

ケータイでメモを取ったり、

会議の内容を録音したりする

ことは、近年では珍しくない光景になってきました。

本人の特性を考慮(合理的配慮)したツール・環境を必要に応じて利用したり、

目的を達成するためにツールを工夫したりすることは、

大人だけではなく子どもにも必要と言えるでしょう。

こうした課題を解決するために大切なのは、

周囲の大人がしっかりとその子どもを理解し適切な支援を行うこと

ではないかと思います。

担任の先生からICT機器の使用を提案したり、

保護者の方から事情を説明して機器を使用する許可を得たりする

など、周囲がその子どもを理解し、柔軟な対応をしていく必要があります。

また、授業を担当する先生は、

周囲の生徒から理解を得るための努力も必要ですし、

保護者の方からもなぜ、どのように使用するかを説明する

必要があります。また、LDの子だけでなく

すべての子どもが学習方法・ツールを柔軟に選択・使用できる環境

整えていく必要もあると言えるでしょう。

その子にとって、何が必要でどうするべきかを考えることは、

その子だけを特別扱いしているのではなく、

個を尊重する上での一つの配慮である

ということを、しっかりと理解しておきたいですね。

 

イラスト:ニョラネコ

発達障害と有名人

少し前の話になりますが、

「発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由」

という本が話題となったことは、記憶に新しいのではないかと思います。

ファッションモデルの栗原類さんの著書で、

「発達障害」という言葉が世に広く知れ渡る一つのきっかけとなりました。

人とは違う感性を持っていたからこそ、他から抜きんでて活躍できたのかもしれません。

そこで今回は、「発達障害と有名人」について解説したいと思います。

以前のブログでも解説しましたが、

発達障害(と思われる)児童・生徒の割合は、

小中学生全体のおよそ6.5%に上るだろうと言われています(文部科学省調査)

今でこそ、発達障害という言葉や概念が少しずつ認知されるようになってきてのこの数値ですので、

場合によってはこの割合はもっと多い可能性もあります。

発達障害は現代病の一種ではなく、今も昔も存在していました。

「もしかして、小学生の頃に同じクラスだったあの子って…」

と、思い当たる節があるのではないでしょうか。

では、もっとさかのぼってみたらどうなるのでしょうか。

実は、発達障害を公表している有名人や、

「発達障害を抱えていたのでは」と思われる偉人が数多くいるのです。

たとえば…

【発達障害を公表している有名人】

・栗原類…ADD

・黒柳徹子…計算障害、ADHDなど

・ミッツ・マングローブ…LD(学習障害)

・オーランド・ブルーム…ディスレクシア(読字障害)

・トム・クルーズ…ディスレクシア(読字障害)

・ウィル・スミス…ADHD

 

【発達障害だったのではとされる偉人】

・坂本竜馬…ADHD

・織田信長…アスペルガー症候群

・レオナルド・ダヴィンチ…ADHD

・トーマス・エジソン…ADHD

・アルバート・アインシュタイン…ディスレクシア(読字障害)

 

などなど。

「えっ、あの人が!?」という人物もいたのではないかと思います。

発達障害と聞くと、マイナスなイメージを抱きがちかもしれません。

しかし、発達障害を抱えながら活躍されている有名人や過去の偉人たちは、

自分の持ち味を生かせる仕事を見つけ活躍しています。

人とは違った感性を持っているからこそ、

他の人にはできないことができる、

突出して輝ける場面がある、

とプラスにとらえることで、新たな可能性が見えてくるかもしれませんね。

 

以上、発達障害と有名人についてのお話しでした。

 

イラスト:ニョラネコ

ICTを活用した不登校支援

少し前に、ICT活用教育について解説しました。

今回は、ICTを活用することでのメリットの一つとして、

不登校傾向にある児童生徒に対するICT機器の活用法

をお話ししたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

学校に足が向かない、

家から外に出ることが難しいといった、

不登校傾向にある児童生徒への支援の方法の一つに、ビデオ電話があります。

ビデオ電話は、インターネット環境にあるパソコンやスマートフォンなどを使用して、

離れた場所にいる相手と画面越しに顔を合わせ会話ができる機能

のことを指します。

現在では、Skype(スカイプ)LINE(ライン)などが主に利用されており、

皆さんも普段触れることの多い機能ではないかと思います。

現在では、ビデオ電話を利用した英会話教室やパソコンの操作案内など、

あらゆる場面で活用されており、これらを応用すれば、

画面を通して気軽に子どもの様子をうかがったり、

画面越しに授業を受けたりするなどの

教育活動・不登校支援に用いることができるでしょう。

実際に、インターネットを通じて

自宅に居ながら授業が受けられる仕組みの通信制高校

も近年開校しています。

いじめや学習の遅れなどから学校に通うことに対し抵抗感を持つ生徒や、

学校に通わないことで生まれる時間を活用し

スポーツや芸術活動に打ち込みたい生徒などにとって、

有効な学びの場と言えるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

その他にも、e-ラーニングを用いることで、インターネット環境さえ整っていれば

時間や場所を選ばず学ぶことができるので、

活用の仕方次第では、

自宅での学習活動をより充実させることができるでしょう。

また、文部科学省は来年度より、いじめなどの相談の場として、

SNSでの相談窓口の開設を検討しているなど、

現代社会に合わせた形の新しい取り組みが始まりつつあります。

無料のコミュニケーションアプリLINEを用いて、

いじめに関する相談を受け付ける取り組みを行うとした、

「LINEを利用した子どものいじめ防止対策に関する連携協定」

LINEと滋賀県大津市の間で締結されました。

このように、ICTの活用は教育界において徐々に広がりを見せています。

しかし学校教育において、こうした環境の整備が進むことで、

不登校を助長するのではないか、

学習活動の妨げになるのではないか、

という声も上がっており、不登校やICT活用教育に対する理解が

完全に浸透しているとは言い難い

というのも課題と言えます。

また、ICT機器に関するインフラの整備や基本的な知識、

人的配備などが追い付いていない

という教育現場も数多く存在します。

不登校支援・学習支援に限らず、現代社会を生きる上で、

「ICT」は日常生活・社会生活と強く結びついており、

必要不可欠な存在であると言えるでしょう。

現代社会を生き、未来を切り開いていくすべての子どもたちのために、

柔軟な価値観が広がりつつ、多様な学びを実現させる学習環境の整備

がさらに進んでくれることに期待したいですね。

 

以上、ICTを活用した不登校支援について解説しました。

 

イラスト:ニョラネコ

教育機会確保法とは

夏休みが明けくらいの頃から、学校に行くことをためらったり、行けなくなったりする子ど もが増えてくると言います。いわゆる、「不登校」と呼ばれるものです。
不登校とは、以前のブログでも解説いたしましたが、「児童生徒が登校しないあるいはした くともできない状況にある」と定義されています。そんな子どもたちを支援をすべく、今年 2 月に、「教育機会確保法」が施行されました。今回は、この法律について簡単に解説した いと思います。

 

「教育機会確保法」は、正式には「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会 の確保等に関する法律(以下、教育機会確保法)」という名前の法律です。長いですね(笑)。 教育機会確保法は、平成 28 年 12 月 14 日に公布され、平成 29 年 2 月 14 日に施行された、 できたばかりの法律です。
この法律の基本理念は、
1.全児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環
境の確保
2.不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の状況に応じた必要な支援 3.不登校児童生徒が安心して教育を受けられるよう、学校における環境の整備
4.義務教育の段階の普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を尊重しつつ、 年齢又は国籍等にかかわりなく、能力に応じた教育機会を確保するとともに、自立的に生き
る基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、教育水準を維持向上
5.国、地方公共団体、民間団体等の密接な連携
となっています。
不登校については以前ブログでも少し解説させていただきましたが、この法律で不登校の 児童生徒が安心して学べるように環境を整えよう、としたものです。
ここで注目すべきは、「多様な学習活動」「相当する教育を十分に受けていない者の意思を尊 重」「国、地方公共団体、民間団体等の密接な連携」といった言葉です。
これは、適応指導教室やフリースクールなど学校以外での学習活動を肯定的にとらえ、連携 を深めていくことを国の方針とするという内容です(ちなみに、教育機会確保法の先駆けと もなる法案(多様な学び保障法案)が、平成27年に議員連盟により発表されていました。 )。民間が学校と連携を深めることで、学校から足が遠のいたときの居場所を確保すると同 時に、学校とのつながりを持ち、その子どもに必要な支援をより適切に行えることとなるで しょう。もちろん、民間での多様な学習等の活動が、その子どもにとって必要かつ適正で、 自立に向けた内容であることも重要です。
平成 27 年度の調査では、小中学校の不登校児童生徒数は 125,991 人いるとされています。 しかしそのうち、民間の施設(フリースクール等)に通っている児童生徒は、約 4,200 人に とどまっており、多くの子どもたちに支援の手が行き届いていないのが現状です。教育機会確保法により、少しでも多くの子どもたちの学びの場を確保し、社会自立への一歩 が踏み出せる環境の創造は、教育に携わる人間だけでなく、社会全体が一丸となって行なっていくべき課題と言えるでしょう。

追記ですが、10月26日に文科省から不登校児童生徒の速報値が発表され、平成28年度の不登校児童生徒数は13万人を超えたとのことです。その背景には教育機会確保法が施行されて、無理に学校に行かなくても良いと言う保護者や教育関係者の意識変化があるのかもしれません。
であるとすれば、やはり学校以外でも子どもの居場所を確保したり、学びや成長の場面を整えていくことは、多様なニーズを持つ子どもたちの社会自立のためにも、社会全体の喫緊の課題とする必要があると言えます。

 

以上、教育機会確保法について簡単に解説しました。

 

イラスト:ニョラネコ

【学習方法】九九の覚え方

突然ですが、皆さんは「九九」をどのようにして学びましたか?

おはじきや算数セットを使ったり、ひたすら暗唱したり、先生に一人ひとりテストを出されたり…

勉強をするにしても何にしても、物事は楽しく取り組めた方が嬉しいですよね。

 

ここで紹介するのは、学び方教室で行なっているちょっと違った「九九」の学び方。

その名も…

「九九カルタゲーム」!!

 

 

 

 

 

やり方は簡単♪

➀ 九九の問題と0~9までの数字カードをそれぞれ用意します。

② 読み手が九九の問題を読み上げ、問題の答えとなる数字のカードを素早くとる!

 

こうすることで、ゲーム感覚で楽しく九九を学べるんです♪

この方法を取り入れたところ、これまで九九が苦手だった子も

すごいスピードで九九を覚え、

「楽しいからもっとやりたい!」なんて言葉も!

 

 

 

 

カード形式での学習は他にもたくさん!

ちょっとした工夫で、学びはどんどん楽しくなるんですね♪

これからも、みんなで楽しく!自分らしく!学び方を学んでいきましょう!

 

イラスト:ニョラネコ

ICT活用教育とは

先日、某有名ブランドの新型スマートフォンが発表・発売されましたね。

毎年この時期に行なわれる発表会が、楽しみで仕方ありません(笑)

今では生活に欠かすことのできなくなった、インターネットやパソコン、スマートフォンなど。

10年前、20年前の夢は、もはや実現可能なプロジェクトになり得る時代になりました。

学校教育においても、そうした情報化社会の波を受け、

ICT活用教育プログラミング教育ど、様々な取り組みが導入されてきています。

そこで今回は、ICT活用教育について解説したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

ICT…Information and Communication Technology

日本語に直すと「情報通信技術」のことです。

つまり、情報通信技術を活用した教育のことを、ICT活用教育と呼んでいます。

ICTとIT(Information Technology)が混合することもあるかと思います。

現代での情報技術は視覚・聴覚だけでも多岐にわたり、カメラやボイスレコーダーといったものから、

パソコンやスマートフォン、現在ではVR※1やAR※2といったものも登場してきています。

ICTとITは、Communication、つまり他者との交流の有無の違いと大まかにとらえてよいでしょう。

ICT活用教育の目的は、最新技術を学校教育に取り入れることではなく、

子どもたちへの教育効果を高めることを目的としています。例えば、

①教科書の内容をポインだけまとめて、プロジェクターとパワーポイントを用いて説明し理解を深める

②跳び箱を苦手としている生徒に対し、その生徒の動作と見本となる動作の両方を動画で撮影し比較をすることで課題を解決するヒントにする

③学習内容の解説動画を、オンラインでいつでもどこでも視聴することができる

④学習アプリなどのe-ラーニング※3を用いて、予習・復習の学習習慣の構築や個のレベルに合わせた学習活動を行なう

などの方法で用いられています。

 

 

 

 

 

 

例:電子黒板を用いた授業

 

現在では、学校内の無線LAN化(Wi-Fi)が急速に進められており、

学校によっては生徒一人に対し1台のタブレットが支給されているというところもあります。

しかし、

・資金的に導入をすることができない

・導入をしても使いこなせるか不安

・そもそも必要ない

といった声や課題があることも事実です。

ここで大切なのは、ICT活用教育とはあくまで

教育効果を高めることを目的としており、

学校側は必要に応じて導入・使用すれば良いという点です。

教育関係者は、

「ICTを取り入れなければ」と身構えるのではなく、

より子どもたちの理解度を上げるためのひと工夫として使ってみる

程度に、気楽に考えてみることから始めればよいのではと思います。

普遍的なものを柔軟な方法で伝えていくためのひとつのツールとしてとらえておきたいですね。

以上、ICT活用教育について解説しました。

 

イラスト:ニョラネコ

 

 

 

※1…Virtual Reality(バーチャルリアリティ)の略。仮想現実空間を感じられる環境を、専用の機器などを通して人工的に作り出す技術の総称

※2…Augmented Reality(オーグメンテッドリアリティ) の略。拡張現実感や強調現実感のことで、視覚や聴覚などから得られる情報を、専用の機器などを通じて変化(または追加・削除)する技術の総称

※3…インターネットを利用した学習システムの総称

 

「学び方教室BB」大船教室オープン!

本日9月1日、「学び方教室BB 大船教室」をオープンいたしました。

ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございます!

これからも、子どもたちにとってより良い学び場を作ってまいりたいと思います。

今後とも、ご協力よろしくお願いいたします!

皆さん、いつでも遊びに来てください♪

作文の書き方

夏休みも終わりが近づいてきましたね。

2学期制の学校は既に登校が開始しているところもあるかと思います。

皆さんは子どものころ、どのような夏休みを過ごしたでしょうか。

きっと楽しい思い出がたくさんあることかと思います。
同時に、宿題に苦戦した方も多いのではないでしょうか(笑)

特に苦戦する方が多いと言われる、読書感想文

今回は、夏休みにピッタリ?な

「作文の書き方のコツ」について

少しお話をしたいと思います。

 

「どの本を読んでも、いつも同じような感想文になってしまう」
「とにかく面倒だから、本の内容を書いて終わりにする」
このような経験談をよく耳にします。
読書感想文に限らず、作文を書くのが苦手という意見が多くあります。

しかし思い返してみれば、漢字の読み書きや計算の仕方を教わった記憶はあっても、

作文の書き方を詳しく教わった方というのは、実は少ないのではないでしょうか

作文や読書感想文を書くにあたってオーソドックスなパターンが、
①どこに行った(何を読んだ)
②何をした(本のあらすじ)
③何を感じた
④楽しかったです
という形。
実際に書いてみると、②の割合が8割近くなることが多いように感じます。

こうなると、どんな本だったのかを紹介した文になり、

作文や感想文を書くことの意図から少し離れてしまいます。

では、具体的にどのような書き方をすれば良いのでしょうか。

実は、ちょっとした工夫(手助け)を加えると、作文の内容の幅が広がるのです

【何をしたか(本のあらすじ)のまとめ方の工夫】
×起きた内容(本の内容)をほとんど全部書いて(写して)しまう
〇一度図解にして、どこが重要か、何を伝えたいかを見てみる
→頭の中にある記憶を思い返すと、時系列に沿って全部書きたくなってしまう

 気持ちが出てしまいがちです。図にしてみて、

 「ここと、ここと、これについて書こう」とポイントをいくつかピックアップしてみましょう。

【何を感じたか】
×「楽しかったです」「面白かったです」ばかりになってしまう
〇「今までで一番」「まるで〇〇みたいでした」と、表現に変化や比喩を加える
→「どうだった?」と聞いたとき、「おもしろかった!」で終わらせず、
「どんなところが?」「どんなふうに笑った?」「なんだか〇〇に似てるね」

「それを見て、何かしたくなったりした?」など、質問のバリエーションを増やしてみましょう。

【その他、表現の仕方の工夫】
例⑴ おもしろかった
…みんなに教えたいと思った、ゲームをするのを忘れてしまった、

気づいたら1日が終わっていた、何度も読み返してしまった、自分も〇〇みたいになりたいと思った、など…
例⑵ すごい、と思った
…かっこいいと思った、あこがれた、すてき、最高、こんな人(本、ものetc…)初めて、

衝撃的、考え方が変わった、自分にはできないと思った、など…

 

作文や感想文を書くことで、
・読んだ内容や経験を記憶や知識として処理する
・経験や記憶、感情を正しく伝える
・経験や記憶、記憶をより詳しく伝えるために、表現の方法を変化させる
・「もし~だったら」といった、経験と知識から考えられる予測を立てる
・「もし~だったら」といった、経験と知識から現実世界にはない想像を膨らませる
などの学習効果が期待できると言えます。

さまざまな経験や活字(文章)を読むことは、脳を活性化させてくれます。
「なぜ?」「どんなふうに?」と、いつもより少しだけ詳しく聞いてみて、

ちょっとだけ手助けをしてみることで、子どもたちの感性がより磨かれるかもしれません。

もしよければ、試してみてください。

 

イラスト:ニョラネコ

外国籍にルーツを持つ子どもと発達障害の関係性

これまで、さまざまな種類の発達障害について解説してきました。

発達障害を抱えることで、生きづらさや学びづらさを感じている人は多くいることでしょう。

当然のことながら、発達障害は日本人だけが抱えるものではなく、

世界中でも同じ特性を持つ方は数多く存在します。

そんな中、現代の教育界が抱える課題の一つに、

「外国にルーツのある子どもへの学習支援」があります。

家族の仕事の都合などにより日本へと移住した子どもが、

日本の学校で他の日本人と同じように学校教育を受けるというのは、

日本語の習得状況や文化の違いから、

なかなか最初から上手く進まないことがあると言われています。

そうした課題の解消に向けて、

外国にルーツのある子どもたちへの学習支援を行うNPO等の

団体は数多く存在し、救われている子どもたちも多くいます。

しかし、思うように学習が進まず、困難を感じている子どもや支援者がいることも、

現実問題として挙げられていると聞きます。

その場合、「なぜ学習が思うように進まないのか」という課題に対し、

「発達障害を抱えているのでは」という疑問を持つケースがあるようです。

前述したとおり、発達障害は日本だけでなく海外にも存在しています。

確かに、「学習に困難=発達障害では」というのも、一つの可能性であると言えるでしょう。

しかし、そうでないケースも考えられる場合もあります。

たとえばその子どもが、

日本語を学習していてもなかなか覚えることができない、

といった場合、

「母国での学習状況」も確認する必要があると言えるでしょう。

外国にルーツのある子どもの中には、経済的・社会的な背景により、

母国で満足に教育を受けられることができなかった(不就学)、

というケースもあると言います。

仮に、13歳の子どもが母国での教育を受けていない状態で来日した場合、

日本語で中学1年生の勉強をしようとしても、

そもそもの学習のベースや概念がないため理解できない

というケースも考えられます。その場合、

どこまでの知識がありどこまでなら理解できるのかを探る必要があります。

発達障害の可能性があるとして、

特別支援級で個別の支援を受けた外国籍ルーツの子どもが、

あっという間に知識を習得し、

日本の同年代の子どもたちと同様に学ぶことができるようになった

というケースもあります。

もし学習に困難を抱えている場合は、

母国での学習状況や現在の学習到達度を把握し、

その子に合ったレベルや方法で学習支援をスタートすることが良いでしょう。

また、それでもなかなか身につかなかったり、特性のある行動が目立ったりするなどの場合は、

必要に応じて医療機関に相談するのも良いかもしれません。

やはり、まずはその子どもが何に対して、

どこで困っているのかを理解していくことが大切ですね。

 

以上、外国籍にルーツを持つ子どもと発達障害の関係性についてのお話でした。

 

 

イラスト:ニョラネコ

通信制高校・技能連携校とは

以前のブログで、高校の種類について解説しました。

平成28年度の高校進学率は、98.7%に上ります。

そのうち、全日制高校への進学率は96.6%となっています。

つまり、高校進学者のほとんどが全日制高校へ進学している、

という結果になります。

しかし、不登校経験者や、発達障害を抱えている生徒の多くは、

「集団が苦手」

「授業についていけない」

「通学のリズムが整えられるか不安」

などの悩みを抱えていることが多く、

全日制の高校にはなかなかマッチしない傾向があります。

そこで今回は、多様なニーズに応える「通信制高校・技能連携校」について解説したいと思います。

 

通信制高校では、

学校に3年以上在籍し必要単位数74単位を修得すれば、

全日制の過程と同じ高校卒業資格が取得できます。

ただし、最終学年に達した時点で、必要単位数の不足があると卒業できずに留年

することになります。

なお通信制高校には、広域制狭域制があります。

  • 広域制…他県から等、広い範囲から入学できる。私立の多くは広域制だが、狭域制もある。
  • 狭域制…狭い範囲(一つの都道府県もしくは隣接する1つの都道府県からのみ)からのみの入学となる。公立高校は、全て狭域制となる。

通信制の学校で単位を修得するには

RST(R:レポート、S:スクーリング(面接指導)、T:テストの3つ)が必要

になります。

レポートやスクーリングは教科によって

その枚数や時間が決まっていてそれを満たすことが必要です。

しかし、レポートやテストを一人でどんどんこなしていければ良いのですが、

そう簡単なことではありません

そこでサポート体制として、現在では全日制のように毎日登校できたり、

登校日数を選べたりする通信制の学校もあります。

スポーツや芸術に特化したり、不登校や発達障害に対する理解や支援があったりと、

多彩かつユニークなカリキュラムが組まれ、

生徒たちの興味関心に応じるように工夫がされてきています。

また、通信制の学校と連携をして高校卒業資格が取得できる

技能連携校という教育施設があります。

技能連携校とは、都道府県教育委員会に指定された教育施設です。

通信制の学校に同時入学という形をとり、

工業や商業などの専門科目と普通科目の両方を学ぶことになります。

ここで面白い所が、

専門科目の修得単位が通信制の学校の単位として認められ、

普通科目と合わせて74単位を修得すれば高校卒業ができる、

という仕組みです。

全日制同様、週5日登校のところがほとんどで、

柔軟なカリキュラムのもとで社会進出に向けた学習活動を行なっています。

なお、技能連携校は教育施設として正式に認めらており、

施設内でスクーリングやテストを受験することも可能です。

これら通信制高校や技能連携校は少人数制であることも多いため、

不登校や発達障害を抱えた生徒へのケアや手厚いサポートが可能

な校舎も多くあると聞きます。

登校に不安や悩みがある場合は、一つの選択肢として視野に入れておくと良いかもしれせん。

高校の種類だけでもある程度把握できれば、納得のいく進路選択・実現ができるかもしれませんね。

以上、通信制高校・技能連携校について解説しました。

 

 

イラスト:ニョラネコ