少し前に、ICT活用教育について解説しました。
今回は、ICTを活用することでのメリットの一つとして、
不登校傾向にある児童生徒に対するICT機器の活用法
をお話ししたいと思います。
学校に足が向かない、
家から外に出ることが難しいといった、
不登校傾向にある児童生徒への支援の方法の一つに、ビデオ電話があります。
ビデオ電話は、インターネット環境にあるパソコンやスマートフォンなどを使用して、
離れた場所にいる相手と画面越しに顔を合わせ会話ができる機能
のことを指します。
現在では、Skype(スカイプ)やLINE(ライン)などが主に利用されており、
皆さんも普段触れることの多い機能ではないかと思います。
現在では、ビデオ電話を利用した英会話教室やパソコンの操作案内など、
あらゆる場面で活用されており、これらを応用すれば、
画面を通して気軽に子どもの様子をうかがったり、
画面越しに授業を受けたりするなどの
教育活動・不登校支援に用いることができるでしょう。
実際に、インターネットを通じて
自宅に居ながら授業が受けられる仕組みの通信制高校
も近年開校しています。
いじめや学習の遅れなどから学校に通うことに対し抵抗感を持つ生徒や、
学校に通わないことで生まれる時間を活用し
スポーツや芸術活動に打ち込みたい生徒などにとって、
有効な学びの場と言えるかもしれません。
その他にも、e-ラーニングを用いることで、インターネット環境さえ整っていれば
時間や場所を選ばず学ぶことができるので、
活用の仕方次第では、
自宅での学習活動をより充実させることができるでしょう。
また、文部科学省は来年度より、いじめなどの相談の場として、
SNSでの相談窓口の開設を検討しているなど、
現代社会に合わせた形の新しい取り組みが始まりつつあります。
無料のコミュニケーションアプリLINEを用いて、
いじめに関する相談を受け付ける取り組みを行うとした、
「LINEを利用した子どものいじめ防止対策に関する連携協定」
がLINEと滋賀県大津市の間で締結されました。
このように、ICTの活用は教育界において徐々に広がりを見せています。
しかし学校教育において、こうした環境の整備が進むことで、
不登校を助長するのではないか、
学習活動の妨げになるのではないか、
という声も上がっており、不登校やICT活用教育に対する理解が
完全に浸透しているとは言い難い
というのも課題と言えます。
また、ICT機器に関するインフラの整備や基本的な知識、
人的配備などが追い付いていない、
という教育現場も数多く存在します。
不登校支援・学習支援に限らず、現代社会を生きる上で、
「ICT」は日常生活・社会生活と強く結びついており、
必要不可欠な存在であると言えるでしょう。
現代社会を生き、未来を切り開いていくすべての子どもたちのために、
柔軟な価値観が広がりつつ、多様な学びを実現させる学習環境の整備
がさらに進んでくれることに期待したいですね。
以上、ICTを活用した不登校支援について解説しました。
イラスト:ニョラネコ