ICTを活用したLD傾向の子どもへの学習支援

以前のブログで、

ICTを活用した学習支援や不登校支援

についてお話ししました。今回は、

ICTを活用したLD(学習障害、以下LD)傾向の子どもへの学習支援

についてお話ししたいと思います。

ICT機器の大きな特徴の一つとして、

音声や写真・動画などを記録(記憶)することに力を発揮

するものが多くあると言えるでしょう。これらを活用することで、

・メモの代わりに録音機器に声で録音する

・スマートフォンなどのカメラ機能で板書された内容を

一時的に写真で保存する

など、LDを抱え、読むまたは書くことに困難をきたしている方にとって

有効な支援のツールになる場面が増えてきています。

徐々にではありますが、LDのお子さんへの具体的な支援方法として

学校教育に取り入れているところもあります。

また、文字を書くことが苦手でも、

キーボード入力ならスムーズにできる

といったケースも少なくありません。書字障害を抱えた方が、

国立大学のAO入試にパソコン(ワープロソフトでの文字入力)を使用

することを認められ、見事合格することができた、といった例もあります。

LDとは別の種類にはなりますが、人前で発言をすることが苦手だったり、

発声障害や緘黙(かんもく)などを抱えていたりする場合には、

・自分の意見をICT機器などを用いて文字にし、

 画面に表示して相手に伝える

・タブレットなどを利用してアンケートに答え、

 アンケート結果をスクリーンに匿名で表示する

・クイズ番組のように答えを一斉表示するなど、

 コミュニケーションをとりつつ学習活動に参加する

ことも可能にします。

しかし、ICT機器の導入には

非常にコストがかかることや、

ICT活用教育に理解が完全に浸透しているとは言い難い

といった課題が残っています。

「みんなは書いて覚えているのに不公平ではないか」

「ほかの人よりも多く書いて覚えればよいだろう」

教育現場や周囲からの意見として、こうした声も耳にすることがあります。

しかし思い返してみれば、

打ち合わせ内容をカメラで撮影したり、

ケータイでメモを取ったり、

会議の内容を録音したりする

ことは、近年では珍しくない光景になってきました。

本人の特性を考慮(合理的配慮)したツール・環境を必要に応じて利用したり、

目的を達成するためにツールを工夫したりすることは、

大人だけではなく子どもにも必要と言えるでしょう。

こうした課題を解決するために大切なのは、

周囲の大人がしっかりとその子どもを理解し適切な支援を行うこと

ではないかと思います。

担任の先生からICT機器の使用を提案したり、

保護者の方から事情を説明して機器を使用する許可を得たりする

など、周囲がその子どもを理解し、柔軟な対応をしていく必要があります。

また、授業を担当する先生は、

周囲の生徒から理解を得るための努力も必要ですし、

保護者の方からもなぜ、どのように使用するかを説明する

必要があります。また、LDの子だけでなく

すべての子どもが学習方法・ツールを柔軟に選択・使用できる環境

整えていく必要もあると言えるでしょう。

その子にとって、何が必要でどうするべきかを考えることは、

その子だけを特別扱いしているのではなく、

個を尊重する上での一つの配慮である

ということを、しっかりと理解しておきたいですね。

 

イラスト:ニョラネコ

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