発達障害とは

近年、耳にすることが多くなった「発達障害」という言葉。

その種類は多岐にわたり、学校などの教育現場でも対応の個別化をより丁寧に求められています。

今回は、発達障害について簡単に解説したいと思います。

 

発達障害者支援法によると、発達障害とは

「自閉症、アスペルガー症候群、その他広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、その他これに類する脳機能の障害」

と定義されています。

種類にもよりますが(発達障害の種類に関してはまた次回以降に解説をしたいと思います)、

発達障害を抱えている場合、以下のような困難が生じる傾向があります。

・じっとしていられず、授業中に立ち歩いてしまう

・ボーっとしていて、忘れ物や失し物が多い

・空気が読めず、ケンカになりやすい

・一つのことにものすごくこだわる(興味のあることへの記憶力が抜群)など

障害と聞くと、身体的なハンディキャップをイメージしがちですが、

発達障害は脳の機能の極端な偏り

であり、ぱっと見ではなかなか気づきにくいところがあります。

しかし、文部科学省が平成24年に行なった調査では、

公立の小中学校の通常学級において、

発達障害の可能性のある児童生徒の数は6.5%にのぼる

という結果が報告されています。これは、

40人学級でいうと1クラスに2~3人の割合

ということになります。

発達障害者支援法や障害者差別解消法などの法的制度も整備されつつありますが、

発達障害への理解が進んでいるとは言い難いところがあります。

「本人が怠けているだけじゃないか」

「甘やかしているからそうなる」

「(教師または親が)ちゃんと教育していないからだろう」

言葉だけの認知は広がっても、正しい理解が広がっているとはいえず、

そういった誤解もまだまだ根強く残っています。

・発達障害は脳機能の障害であり後天的なものではないということ

・うまくいかずに困っている本人が「怠慢」「わがまま」と誤解を受けていること

・一生懸命なのに誰にも理解されず、苦しんでいること

これらの理解がより多くの方に広がっていくことが大切だと思います。

発達障害を抱えた子どもたちは、

他の子ども以上に繊細で敏感な感覚を持ち、

純粋がゆえに傷つきやすい心

も同時に持ち合わせている子も少なくありません。そして何より、

他の子どもと同様に、素晴らしい可能性を秘めているということ

も忘れてはならない所ですね。

 

次回以降、発達障害の種類について解説していきます。

 

イラスト:ニョラネコ

芸能人と不登校

不登校という言葉を聞いて、良いイメージやプラスの感情を

抱く方は、そう多くはないと思います。

不登校傾向にある子どもにとって、学校へ行かないことに対する

コンプレックスは、保護者の方が感じている以上に

大きなものだったりします。

そこで今回は、不登校をあえてプラスにとらえる話題として、

「芸能人と不登校」についてお話ししたいと思います。

 

テレビドラマや雑誌などで、華々しく活躍する芸能人。

その輝かしさは多くの人を魅了し、感動させ、元気を与えてくれます。

そんな芸能人の中にも、実は不登校経験者が多くいることがわかっています。

 

不登校経験を公表しているのは、

・マツコ・デラックスさん(タレント)

・指原莉乃さん(歌手 HKT48)

・星野源さん(俳優・歌手)

・藤田ニコルさん(タレント・モデル)

・千原ジュニアさん(お笑い芸人)

・西田敏行さん(俳優)

・宮崎哲弥さん(評論家)

などなど…この他にもたくさんいらっしゃるようです。

 

現在のメディアでの活躍からは、不登校というネガティブなイメージとは正反対の方々。

不登校の原因の多くは、

いじめ、コミュニケーションの不和、劣等感や発達障がいなど

様々ですが、現代の不登校の原因・要因と何ら変わらないのです。

そのような過去からここまで活躍できるようになったのは、

・理解者となってくれる先生と出会えた

・自分のやりたいことが見つかった

・自分の居場所が見つかった

・歌の歌詞に救われた

など、自分が変わるきっかけを見つけた(見つかった)ことが大きいようです。

 

程度の差はありますが、人生につらい経験はつきものです。

不登校傾向にある子どもには、いきなり「学校に行きたい」とまではいかなくとも、

心のどこかで「まずいなぁ…」「どうにかしなきゃ」と

前向きに考えています。事態を変える意思はあるのです。

そのきっかけが何になるかは、その子によって多種多様です。

普段とは違う相手に相談をしたり、少し時間を置いて休んだり

気分転換に家族で出かけたりすることで、

もしかしたら何か変化するかもしれません。

不登校になってしまったときは、一度落ち着くまで休み、

改めていろいろなことに目を向けて、

前に進むきっかけを探してみてはいかがでしょうか。

 

 

フリースクールとは②

前回の「フリースクールとは①」では、主にフリースクールとはどんなところかをご説明しましたが、

今回はフリースクールに通うことのメリットについてお話ししたいと思います。

 

学校から足が遠のく、いわゆる不登校の状態になってしまうと、

「早く学校に行かなきゃ」「欠席日数が多いと通知表が…」

など、不安も大きくなることでしょう。そんな折に、

「学校に通わずフリースクールに通っている場合じゃないのでは?」

と考える人も少なくないと思います。しかし、ご安心ください。

フリースクールの多くは小中学校と連携している場合が多く、

フリースクールに通った日は在籍している学校の出席として認めてもらえる

という制度もあります。

これは、フリースクール側がそこでの学習状況を学校に定期的に報告をし、一定の条件のもとに校長が認めた場合に限りますが、ほとんどの小・中学校が出席を認めています※1。ただし、義務教育を終えた高等学校は難しい場合もあります。

では、実際に通い始めるとした際、

「電車で何駅か離れている」「通学費だってかかるし…」

そんな心配もあることかと思います。しかし、上記のようにフリースクールと在籍している学校が連携をし、出席扱いが認められれば、

通学定期乗車券制度を使用することができる

のです※2

登校するペースは、フリースクールと家庭で話し合い、本人の様子から見て総合的に考えることになりますが、

仮に週5日通うとしたら、これは使わない手はありません。

ただし、週に1日などスモールステップで始める場合などは、定期券を購入すると逆に高くつくこともあるのでご注意を。

そして、フリースクールの多くは少人数制であり、40人学級のような

大人数のクラスではなかなか目の届かない範囲まで、スタッフが目を配ることができます。

少人数であれば、集団が苦手な子どもでも安心して通うことができますね。

また、不登校になる背景には「発達障害」を抱えているケースも少なくありません。

少人数であれば、子どもたちの抱える特性によりきめ細やかな配慮が可能となるほか、

フリースクールの職員には

特別支援に関する専門知識を持った職員が在職していることも珍しくありません。

あとは、そのフリースクールが子どもに合うかどうかです。

前回も述べた通り、場所によって取り組みや規模は様々ですし、解決すべき課題も存在します。

今後は、いかにフリースクールと学校・教育委員会が、互いに連携しあう姿勢を積極的に作れるかが大切なのかもしれませんね。

 

以上、フリースクールに通うメリットについてお話ししました。

 

イラスト:ニョラネコ

 

※1「不登校への対応の在り方について」平成15年5月16日 文部科学省 通知

 「高等学校における不登校生徒が学校外への公的機関や民間施設について相談・指導を受けている場合の対応について」平成21年3月12日 文部科学省 通知

※2「不登校児童生徒が学校外の公的機関等に通所する場合の通学定期乗車券制度の適用について」 平成21年3月27日 文部科学省 通知

フリースクールとは①

前回のブログでは、不登校について解説しました。

不登校、つまり学校に行かない日が続くようになった場合、

 

「勉強はどうしよう…」

「友達がいなくなってしまはないか不安…」

「このままずっと家から出ない生活になるになるのでは…」

 

このような不安を感じる人がほとんどです。

そんな子ども達のための居場所として、フリースクールというものがあります。

そこで今回は、フリースクールについて簡単に解説しようと思います。

 

フリースクールとは、大まかに言えば

“何らかの理由で学校から足が遠のいてしまった児童・生徒が集う場所”

という認識をもっていただければと思います。対象は主に小・中学生ですが、高校生を受け入れている場所もあります。

そもそもフリースクールには、「これをしなさい」「こうしてください」といった定義はなく、運営母体も、我々のようなNPO法人や民間企業、学校に併設している場合もあります。

ちなみに、フリースクールに似た団体として、フリースペース、適応指導教室、サポート校なんてものもありますが、

フリースペース…主に居場所としての役割

適応指導教室…不登校児童生徒の学校復帰を目指す、市町村の教育委員会が設置する公的施設

サポート校…通信制の高校に在籍している生徒の卒業に向けた学習指導

が、それぞれの大まかな役割です。

「えっ、じゃあフリースクールって何もしないの?」

なんて声が上がってきそうですね。

フリースクールの目的や取り組みは、その場所によって多種多様に存在します。

〇目的の例

・自信を取り戻し、学校への登校復帰を目指す

・遅れがちな学習を取り戻す

・社会性(ソーシャルスキル)を身につける

・日常生活のリズムを立て直す  などなど

〇取り組みの例

・学習指導(小学校低学年の基礎からの学び直しや受験対策まで様々)

・パソコンやタブレットを使った活動

・スポーツ活動や調理実習

・農業体験、キャンプ  などなど

つまり、それぞれのフリースクール運営者が、

子どもたちにとって何が一番大切かを考え、実践している

と言えます。

ここで勘違いしてしまいそうですが、

フリースクールは基本的に有料施設である

とお考え下さい。残念ながら、「フリー = 無料」ではありません。

 

また、中にはカリキュラムもなく、必ずしもその児童生徒にとって適切な支援の場とは言い難い団体や、情報が乏しく学校や教育委員会との取り組みと相容れるか明確でないなどの課題が指摘されている団体があることもあります。

 

目的も取り組みも運営母体もそれぞれなので、スタッフの数や年齢、人柄、施設の規模、そして会費や費用も場所によって様々です。まずは気軽に問い合わせてみるのも一つの手かもしれません。

 

では、フリースクールに通うことのメリットにはどんなものがあるのでしょうか?

次回、メリットについて解説をしたいと思います。

 

不登校とは

かなり聞きなれた言葉になりつつある「不登校」という言葉。
今回は、不登校の定義などについて解説していきます。

「不登校とは、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者 (ただし、「病気」や「経済的理由」による者を除く。)」※児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査より抜粋

と、文部科学省により不登校は定義されています。不登校の児童生徒数は平成9年に10万人を突破して以降、高水準のまま今日に至っています。
以前は「登校拒否」という言葉も使われていましたが、現在はこの言葉を聞くことはほとんどありません。
登校拒否という言葉が使われていたのは、昭和41年~平成9年までの間でした。

 

当時登校拒否は、
「学校ぎらい」「心理的な理由などから登校をきらって長期欠席をした者」で50日以上欠席した児童生徒」
と定義されていました。ここで注目すべき点は、「学校ぎらい」という点です。

例えば、こんな場面を想像してみてください。
ある家庭で、ペットを飼ってみないかと提案をされた子どもがいたとします。その時、
A太くん「飼ってみたいけど、以前犬に噛まれたことがあるし…それにちゃんとしつけができるか不安」
B子ちゃん「ペット?動物なんて嫌い!なんでそんなもの飼わなきゃいけないの!」
と別々の反応がありました。この2人の違いは何でしょうか。
2人は共通して、ペットを飼うことに肯定的でないことがわかります。しかし、A太くんは「飼ってみたいけど」と少し前向きな意見もありつつ受け入れにくい状況にあることに対し、B子ちゃんは「飼いたくない」と明確な拒絶をしていますね。

 不登校という言葉は、「登校しないあるいはしたくともできない」と定義されているように、
本来子どもは学校に登校したいと考えていることにも注目している点にあります。
子どもたちにとって、物心ついたころから「学校は自分も行くようになる場所」「言って当たり前の場所」という感覚が付いてくることがほとんどです。そんな場所に通わないもしくは通えないということが、子どもはもちろん保護者にとっても大きな不安の材料となってしまうのは、それこそ当たり前なのかもしれません。
ここで大切なのは、無理をさせないこと、そして子どもの気持ちを理解することです。
子どもたちはいつでも一生懸命で、素直に頑張っています。全力で走り続ければ、途中息が切れてしまうこともあるでしょう。走り続ける体力がまだついていなければ、足を止めることもあるでしょう。
子どもたちのゴールは、ずっとずっと先にあるのです。時には休ませてあげることも、話を聞いてあげることも大切なことです。
もしお子さんが不登校になってしまったり、不登校になりそうだったりした場合は、

まずは子どもの心の声に耳を傾け、悩みを聞き、共感し、一歩前に進めるよう寄り添ってあげてみてください。

子どもにとって、他の誰よりも保護者の方が一番身近にいる相談相手なのです。それでも難しいようであれば、学校や専門機関に相談してみるのもよいでしょう。
休みたい理由が解決できれば、自然と学校にも行くようになることでしょう。そこにかかる時間は子どもによって違います。それもひとつの“個性”と、前向きにとらえてみてはどうでしょうか。