これまで、さまざまな種類の発達障害について解説してきました。
発達障害を抱えることで、生きづらさや学びづらさを感じている人は多くいることでしょう。
当然のことながら、発達障害は日本人だけが抱えるものではなく、
世界中でも同じ特性を持つ方は数多く存在します。
そんな中、現代の教育界が抱える課題の一つに、
「外国にルーツのある子どもへの学習支援」があります。
家族の仕事の都合などにより日本へと移住した子どもが、
日本の学校で他の日本人と同じように学校教育を受けるというのは、
日本語の習得状況や文化の違いから、
なかなか最初から上手く進まないことがあると言われています。
そうした課題の解消に向けて、
外国にルーツのある子どもたちへの学習支援を行うNPO等の
団体は数多く存在し、救われている子どもたちも多くいます。
しかし、思うように学習が進まず、困難を感じている子どもや支援者がいることも、
現実問題として挙げられていると聞きます。
その場合、「なぜ学習が思うように進まないのか」という課題に対し、
「発達障害を抱えているのでは」という疑問を持つケースがあるようです。
前述したとおり、発達障害は日本だけでなく海外にも存在しています。
確かに、「学習に困難=発達障害では」というのも、一つの可能性であると言えるでしょう。
しかし、そうでないケースも考えられる場合もあります。
たとえばその子どもが、
日本語を学習していてもなかなか覚えることができない、
といった場合、
「母国での学習状況」も確認する必要があると言えるでしょう。
外国にルーツのある子どもの中には、経済的・社会的な背景により、
母国で満足に教育を受けられることができなかった(不就学)、
というケースもあると言います。
仮に、13歳の子どもが母国での教育を受けていない状態で来日した場合、
日本語で中学1年生の勉強をしようとしても、
そもそもの学習のベースや概念がないため理解できない、
というケースも考えられます。その場合、
どこまでの知識がありどこまでなら理解できるのかを探る必要があります。
発達障害の可能性があるとして、
特別支援級で個別の支援を受けた外国籍ルーツの子どもが、
あっという間に知識を習得し、
日本の同年代の子どもたちと同様に学ぶことができるようになった、
というケースもあります。
もし学習に困難を抱えている場合は、
母国での学習状況や現在の学習到達度を把握し、
その子に合ったレベルや方法で学習支援をスタートすることが良いでしょう。
また、それでもなかなか身につかなかったり、特性のある行動が目立ったりするなどの場合は、
必要に応じて医療機関に相談するのも良いかもしれません。
やはり、まずはその子どもが何に対して、
どこで困っているのかを理解していくことが大切ですね。
以上、外国籍にルーツを持つ子どもと発達障害の関係性についてのお話でした。
イラスト:ニョラネコ