誰にでも、スポーツや勉強などに得手不得手や好き嫌いは多少あることかと思います。
また、それらが苦手でコンプレックスを抱えている方もいるかもしれません。
ひとえに「勉強が苦手」といっても、
「英語が苦手」「歴史が嫌い」とはまた別に、
「会話はできるのに、文字は読めない(書けない)」
「極端に物覚えが悪い」といったケースもあります。
そこで今回は。「LD(学習障害)」について解説したいと思います。
LD(学習障害、以下LD)とは、
「基本的には全般な知的の遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する能力のうち特定の者の習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、情緒障がいなどの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない」
と定義されています。(文部科学省より)
知的な遅れはないものの、努力してもなかなか学習効果が上がらず、
苦しい思いをしていることがあります。
また、特定の領域において苦手が顕著に表れることが原因で、
本人の努力不足だとあらぬ誤解を受けることもあります。
LDの特徴は、以下のようにまとめられます。
1.「読む・書く」の困難について
・文字がはっきり読めない(動いて見える、逆さに見えるなど)
・単語と単語の意味がつながっていない
・書くのが遅く、一生懸命ノートを取っている途中で黒板を消されてしまう
2.「聞く・話す」の困難について
・聞きたい音が聞き取れない
・自分の考えを整理できず話が続かない、言いたいことが言えない
・聞いた話を覚えておくことができない
3.「計算・推論」の困難について
・繰り上がりの計算ができない
・図形の辺の長さや面積の広さを推論したりすることができない
・表やグラフの意味を読み取ることができない
などなど。
文字を書く際に枠からはみ出してしまったり、
物の大きさや広さ、奥行きなどをイメージできない場合は、
空間認知の力が低いためと考えられます。
また、板書(黒板に書かれた内容)を書き写すことが苦手な場合は、
「見て→覚えて→書く」ための「覚える」力、
短期記憶(ワーキングメモリー)の能力が低いためとも考えられます。
前述のとおり、全般に知的な遅れがなく、ある分野だけが極端に苦手なケースが多いため、
「なまけている」「やる気がない」などの誤解を受けやすい
ところも難点です。
また本人も、
「他のことはうまくいくのに何故これだけができないのか」
と、原因がわからずモヤモヤしていることも少なくありません。
特に子どもの場合、なかなか「LD」という言葉に直接触れる機会もないため、
大人になってから他の人との感覚の違いを初めて知る
ケースも多いと言われています。
ある調査では、
「9歳までに適切な教育が受けられなかった子どもの場合、そのうちの実に70%が読みのつまずきを生涯持ち続ける可能性がある」
ことが報告されています。※National Center for Learning Disabilities,2004
では、どのように対応するべきなのでしょうか。
次回、LDの子どもへの配慮や対応の仕方について解説していきます。
イラスト:ニョラネコ
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