これまでは、発達障害の種類として、自閉症スペクトラムに分類される
「自閉症」「アスペルガー症候群」について解説してきました。
今回は、ADHDについて解説したいと思います。
ADHD(注意欠陥多動性障害)は、
何らかの脳の機能障害によってドーパミンが不足していることが原因と考えられており、
じっとしていることが苦手、衝動的に行動してしまう
などの特性が見られます。
特徴としては、以下の3つが挙げられます。
「不注意」
…気が散りやすく、忘れっぽい。集中力を長時間継続することが困難
・なくし物や忘れ物が多い、整理整頓が苦手
・話しかけても聞いているのか聞いていないのかわからない(上の空)
・周囲を見ることなくそのまま道路に出てしまう
・簡単なミスが多い(計算ミス、誤字や脱字)
「多動性」
…とにかくじっとしていることが苦手
・授業中でも立ち歩いたり、じっと座っていられず周りに話しかけたりする
・話の内容がころころ変わる
・(相手の話を聞かずに)一方的に話してしまう
「衝動性」
…気持ちや欲求をコントロールしにくく、考える前に体が動いてしまう
・順番を守らずに横入りしてしまう
・気になる物を見つけて道路に飛び出してしまう
・授業中、質問が終わらないうちに挙手をせず答えてしまう
・邪魔をされると泣いたり怒ったりするなど癇癪をおこすことがある
これら3つの特徴のうち、全部を有している、またはどれか一つが特に強いなど、
人によって症状は様々です。
店内を走り回る子どもや、忘れ物が多かったり、机の中がぐちゃぐちゃだったりするなど、
一見本人のなまけに思われやすい特性が多くあります。
前述したとおり、ADHDは脳機能の何らかの障害によるものと言われており、
親のしつけのせいでも、子どものなまけでもないのです。
忘れものをしないようにしても、じっとしていようとしても、
それを実行できない本人が一番困っているのでは、
ということを忘れてはなりません。
「なぜ自分はいつもうまくできないんだろう」という悩みがきっかけで、
不登校傾向になっていくケースもあります。
ちなみに、アメリカの精神学会の診断基準では
ADHDの割合は5%とされていますが、アメリカ政府の統計では
ADHDと診断されている子どもの割合は11%と発表されています(2012年)。
かといって、
「あの人(子)はADHDなんだろう」「私はADHDなのかも」と
決めつけるのは適切ではないでしょう。
ただ忘れっぽいだけ、集中力がないだけの場合との線引きは、
自分一人の主観になってしまうとなかなか判断できないものです。
気になったり、日常や学校生活に支障があったりするようであれば、
専門医への相談をしてみるのも一つの手段です。
早期の相談が日常生活を過ごしやすくするきっかけが得られるかもしれません。
次回は、ADHDの特性を持つ子どもへの配慮や対応の仕方について解説します。
イラスト:ニョラネコ
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