前回のブログでは、「アスペルガー症候群」について解説しました。
知的な遅れを伴わない傾向のため気づかれにくいとされる症状に、
コミュニケーション面で困難を抱えているケースが少なくありません。
では、どのような配慮や対応が必要なのでしょうか。
今回は、「アスペルガー症候群」の傾向にある、特にお子さんへの
配慮や対応の仕方について、いくつか例を挙げて解説したいと思います。
・比喩が伝わらない
→具体的な内容で伝える
×「まっすぐ家に帰りましょう」
〇「寄り道をせずに帰りましょう」「通学路を通って帰りましょう」
…比喩が伝わらない場合は、「こういうことを表現しているんだよ」
と説明を加えて覚えてもらうなど、少しずつ表現の幅を広げると良いでしょう
・相手の感情を理解できない、直接的に表現してしまう
→「こう言ったら相手はこう感じる(みたいだよ)」ということを教える
×「なんでそんなことを言うの!傷つくに決まってるでしょ!」
〇「□□と言われて、△△ちゃんは嫌だと感じたんだよ。」
…何が原因で相手はどう感じ、結果どうなったのかを理解させることで、
今後失敗を減らすことができます。また、注意をするときは感情に任せるのではなく、
静かに諭すように伝えることを心がけてください。
・話すのは好きだが聞くのは苦手
→会話の際のルールを決める、話の内容を可視化する
×「人の話ちゃんと聞いてる?」「ちょっとは俺の話も聞けよ」
〇「次は私が話す番ね」「(話が終わったら)じゃあ次はあなたの番ね」など
“質問があるときは手を挙げる”“指名されてから答える”などのルールを貼り出す
…明確なルールがあれば、本人の行動をサポートでき、規範意識も高まりますね。
以上のような配慮が考えられます。
一見、課題としてしかとらえられていないことも、
「融通か利かない」→「ルールを順守する意識、正義感が強い」
「物事をはっきりと言ってしまう」→「自分の意見をはっきり言える」
と考えると、これは一つの素晴らしい個性、長所ととらえることができるはずです。
正義感、責任感を生かして何かの役割を任せてあげると、一生懸命取り組んでくれます。
本人の能力を超えるような難しいことをお願いすると、
失敗した際自信を失ってしまうので、
まずはちょっと頑張れば簡単にできることを繰り返し、
自信を高めていきましょう。
素直で正義感が強い故にトラブルを引き起こしてしまうのは、
本人としてもいまいち納得のできることではなく、
失敗経験が重なるとどんどん自信を失ってしまう恐れもあります。
子どもならなおのこと、段階を経て、具体的に、少しずつの積み重ねをすることで、
だんだんと社会性が構築されていけば良いのではないかと思います。
以上、「アスペルガー症候群」の傾向にある子どもへの配慮と対応の仕方についての解説でした。
イラスト:ニョラネコ