前回のブログでは、「自閉症」について解説しました。自閉症とは、「自閉症スペクトラム」という考え方の中に含まれており、「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」もここに分類されています。
そこで今回は、「アスペルガー症候群」について解説したいと思います。
アスペルガー症候群は自閉症とよく似ており、共通した特性が多くあります。
自閉症との違いは、「著しい言葉の遅れ、知的な遅れがない」ということです。
特徴としては、
1.抽象的な表現の理解や、空気を読むことが苦手
・比喩が伝わらない
・相手の感情を察することができない
・暗黙の了解が理解できない、など
2.直接的に表現してしまう、言葉の意味をそのまま飲み込んでしまう
・「その服、似合ってないね」と悪気もなく言ってしまう
・「まっすぐ家に帰りましょう」→「曲がり角があるので無理です」などと考えてしまう、など
3.想像力が弱く、予定の変更が苦手
・急な予定変更が起こるとパニックになる
・高い所に上る→落ちるかもしれない→危険という想像が苦手
・二つのことを同時に行なうことが苦手(効率的な動きの想像が困難)
4.コミュニケーションでトラブルを起こしやすい
・話すのは好きだが聞くのは苦手
・直接的な表現でよくケンカになるが、怒らせた原因を理解するのが困難
・会話がうまくかみあわない、など
これらの症状が表れやすい傾向にあります。
言葉の遅れや知的な遅れがあまりないため、比較的普通に接することができるため、
特性を抱えているという風にはあまり思われることがありません。
先の例で、「その服、似合ってないね」と言っても、本人としては事実を言ったまでで、
相手が傷つく、怒るということが想像できず、
トラブルになっても自分が悪いという自覚がないのです。
この他にも、相手の気持ちを理解することが困難なため、
自己主張が強く他者の意見を聞き入れなかったり、
聞くことが苦手で相手の話を聞き洩らしてしまったり、
聞いたことだけがすべてであり事実となってしまったりすることもあります。
そのため、コミュニケーション面でのトラブルが多く起こってしまいがちです。
トラブルが続くことで自己肯定感がどんどん低くなり、
「どうせ自分は…」とふさぎこみ、学校に行かなくなるというケースも少なくありません。
うまくいかない本人はさらに辛い思いをしていることもあるのです。
ここでもやはり、トラブルばかりに目を向けず、良い面もしっかりと認めていくことが大切です。
自閉症と同様、こだわりが強い傾向があるため、
一つの役割を与えることで責任感を持って一生懸命取り組んでくれます。
興味関心のあることの知識や記憶力がずば抜けており、非常に博識だったりもします。
では、こうした輝きを伸ばしつつ、どう課題を克服していけば良いのでしょうか。
次回、アスペルガー症候群の子どもへの配慮や対応の仕方について解説します。
イラスト:ニョラネコ