前回は、LD(学習障害、以下LD)の特徴について説明しました。
こうした特性を抱えていても、対応や学び方を工夫することで、
症状を少しずつ改善したり、学びやすくしたりすることは可能です。
今回は、LDの子どもへの配慮や対応の仕方について解説していきます。
・「読む・書く」の困難について
→文字の拡大やマス目のノートの使用など、
読み(書き)やすくする工夫をする
×「とにかく書いて(読んで)覚えましょう」
〇読み・・・単語と単語の間を空ける、行間を広くする、など
書き・・・大きいマス目のあるノートを使う、ノートの代わりにタブレットを使う、など
…小さい文字や潰れた文字は大きく拡大することで、読みやすさが飛躍的にアップします。
読む・書くこと自体も大切ですが、「知識を活用できるようになること」が一番大切です。
・「聞く・話す」の困難について
→会話は短く端的に。メモや機器を使って
聞き(話し)やすくする工夫をする
×ざわざわした環境での会話、長い説明など
〇静かな環境で話をする、メモやボイスレコーダーなど聞き(見)返せるようにする
…メモを取る習慣は、大人になっても有効ですね。話がまとまらないときは、聞き手側がある程度リードしつつ、話の順序立てをスモールステップで教えてあげると良いでしょう。
・「計算・推論」の困難について
→目で見て、イメージしやすくする
×「この問題はここがこうなるよね、じゃあ次は…」
〇問題にイラストなどを添える、解説動画を見せる、など
…図のように、ひっ算の補助線を引くことで、どの数字がどこに来るかが整理しやすくなります。
などなど。
現代では、スマートフォンやタブレットなどのICT機器の普及が進み、さまざまな場面で
学習の補助ツールとしてICT機器は活用されています。(後日解説)
カメラやタイピングなど、ICT機器は生活の場面だけでなく
LDの子どもたちにとっても非常に有効に
活用できる機能は数多く搭載されていますので、
必要に応じて学習活動に取り入れてみると良いでしょう。
その他、スウェーデンで開発された
ワーキングメモリ(短期記憶)トレーニングの研究では、
ワーキングメモリの改善とともに、知能など他の認知機能の改善、
不注意や多動など行動・症状面の改善効果があることが証明
されており、こちらを活用するのも有効かもしれません。
しかしながら、これらは決して1回だけでは効果は表れるとは言えません。
改善への道には、継続的な取り組みが不可欠です。
効果が出るまで、その子に合った方法で、長い目で支援する必要があります。
また、LDによる困難があるからといって、
なんでもかんでもやってあげることが
必ずしも子どもにとって良いとは限りません。
場合によっては、社会自立への道から遠ざかってしまう…そんな懸念もあるからです。
社会で生きていくために、本人に合った学び方を身につけ、
少しずつできることを増やしていけると良いですね。
以上、LDの子どもへの配慮や対応の仕方について解説しました。
イラスト:ニョラネコ