学習活動におけるICT機器の活用方法②「タブレット」

ICT機器の具体的な活用方法として、

電子黒板について前回のブログで解説しました。

学習活動におけるICT機器の活用①「電子黒板」

今回はその第2弾、

「タブレット」の活用方法について

解説していこうと思います。

iPadやSurfaceなどの有名な機種をはじめ、

現在では各社がこぞってタブレット機器の開発に力を注いでいます。

タブレットとは

や専用のペンなどで画面に触ることで操作ができる板状のパソコン

というイメージを持っていただければと思います。

余談ではありますが、

「タブレットPC」「タブレット端末」

という言葉が存在しますが、これは搭載しているOSの違いによって区別されます。

タブレットは持ち運びが容易なので、データ通信の契約をしていれば

基本的にいつでもどこでもインターネットに接続することができ、

webページの閲覧や動画の視聴が可能です。

データ契約をしていない場合でも、Wi-Fi環境下にあれば同じように使うことができます。

タブレットにはカメラ機能や電卓、スケジュールに文書作成など、

多くの機能が搭載されている(搭載できる)ため、

持ち運びの容易さが相まって、ビジネスや日常生活などの

あらゆる場面で活用することができます。

では、学習活動においてどのように

タブレットを活用すればよいのでしょうか。例としては、

・デジタル教科書として使用し、

 画面の拡大やマーカーを引くなどして、視覚支援を行なう

・重い教科書やノートを一つのタブレットで賄う(忘れ物対策)

・調べもの学習でインターネットを使用してwebページの閲覧

・プレゼンツールを使用し、社会進出を見据えたプレゼンの作成・練習

・板書内容の写真を撮る、タイピングでノートを取るなど、

 書字の困難に対する支援として活用する

・タブレット画面を遠隔で確認・操作をすることでの

 授業進度の調整や授業の統制

などなど、挙げだせばキリがありません。

先日挙げた「電子黒板」と組み合わせることで、

より幅広く活用することができます。

 

教育現場において、

校内の無線環境を整備したり、教材の一部として

生徒一人ひとりにタブレットを配布したり

貸し出したりするなど、タブレットを含む

ICT機器の浸透が少しずつうかがうことができます。

先日、デジタル教科書

従来の紙の教科書に代えて使用することができる

とした内容で、学校教育法の改正案が閣議決定されました。

この変化は教育現場にとって、ただ紙が電子化するというだけのこと以上に、

大きな意味をもたらすこととなるでしょう。

タブレットという革新的なICT機器が導入・浸透することで、

日本の教育もこれからの日本の将来のために

革新的な変化が求められるようになるのかもしれませんね。

 

以上、ICT機器の具体的な活用方法の第2弾として、「タブレット」について解説しました。

 

イラスト:ニョラネコ

 

※教育課程の一部においての使用に限る。ただし、視覚障害や発達障害などの児童生徒は全教育課程で使用可能

学習活動におけるICT機器の活用①「電子黒板」

以前のブログで、

ICT活用教育について

簡単に解説させていただきました。

ICT機器に関しては、

日夜進歩の一途をたどっており、

日常生活においては必要不可欠のものとなっています。

そしてその波は、教育現場にも徐々に流れ込んできています。

今回のブログでは、

学習活動におけるICT機器の具体的な活用方法

として、電子黒板について解説していこうと思います。

教育現場、その中でも「学校」で特に取り入れられているICT機器としては、

電子黒板とタブレットの2つが挙げられます。

公立の学校に関しては、自治体により

各校に配備されているケースがあったり、

私立の学校に関しては、教材の一つとして

生徒にタブレットが配布(購入の場合もある)されていたり、

独自に導入していたりするケースもあります。

そもそも電子黒板とは何か、という話でもありますよね(笑)

電子黒板とは、モニター+黒板のイメージを持っていただければと思います。

テレビなどで気象予報について解説する際に、

モニターに映る日本地図の上に矢印を書いたり

晴れマークや雨マークなどをつけたりする場面を

見たことがあるのではないでしょうか。

あの機能を持ったモニターが、電子黒板だとお考え下さい。

電子黒板は直接書き込めるという機能だけでなく、

パソコンなどのICT機器と接続することで、

その画面を複製することもできます。

インターネットで検索をしてみたり、

動画を流したり、地図を広げたりなど、様々な活用方法があります。

電子黒板のメリットは、

事前準備さえ整っていれば

「書く」「消す」という時間を大幅に削減

することができる点にあると筆者は考えます。

授業準備の際にPowerPointなどのソフトを用いて板書計画を作成すれば、

これまで黒板に字を書いたり、書いた字を消したりしていた時間、つまり

「子どもたちに背中を向けていた時間」を、

「子どもたちの表情を見る時間」に変えることができるのです。

学習活動の中で、子どもたちが学習内容を理解しているかどうか、

姿勢はどうか、調子はどうかなどを指導者側が把握するには、

授業中のどもたちの様子を見ることがとても大切です。

また、電子黒板に書き込んだ内容をそのまま保存し、

授業内容・板書内容をプリントアウトすることで、

その日欠席した子どもへも授業内容を伝えやすくすることができます。

さらには、プリントアウトできれば

書字に苦手を抱えている子どもへの支援にもなりますし、

画面を拡大すれば視覚支援としても活用することができます。

「難しそう」

「使いこなせる自信がない」

というICT機器へのイメージは、パソコンやスマートフォンの普及により

徐々に薄れつつあります。

時代の変容とともに日常生活や社会生活を取り巻く環境が変わるように、

教育の在り方や方法についても、変化を求められる部分と向かい合うことで、

新たな可能性が生まれるのかもしれませんね。

 

以上、ICT機器の具体的な活用方法として、電子黒板について解説しました。

 

イラスト:ニョラネコ

映画「ファインディング・ドリー」から考える子どもの理解

皆さんは最近、どんな映画を観ましたか?

一昔前の金曜ロードショーでは、番組終わりに水野晴郎さんの

「いやぁ、映画って本っ当に良いもんですね!」

という決め台詞がありましたが、

映画と共にこの言葉が今でも印象深く心に残っています。

さて、2016年に公開されたディズニー映画

「ファインディング・ドリー」という作品があります。

ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

この物語の主人公は、前作「ファインディング・ニモ」にも出てきた、

ドリーという魚

ドリーは物を覚えることが苦手で、

ちょっと前のこともすぐに忘れてしまいます。

また、目に入ったものに気を取られてしまい、

あっちへ行ったりこっちへ行ったりしてしまいます。

しかし、とても友達や家族思いで優しい心を持ち、

素晴らしい行動力も持ち合わせており、

その高い行動力を生かして様々な困難に立ち向かっていきます。

ここまで話したところで、ピンとくる方もいるかもしれません。

そう、ドリーの行動や性格には、

ADHDの傾向によく似たものが数多く見られるのです。

※ADHDについては過去のブログにて詳細解説

ADHDとは①

この作品を観て、

「これ、私のことだ!」

「あの人にそっくり!」

「うちの子どもも…」

と共感する方が、非常に多かったと聞きます。

そして、この作品を最後まで観て涙する方もたくさんいらしたようでした。

ドリーの他にも、多くの個性的なキャラクターが登場し、

力を合わせながら物語は進んでいきます。

そんな中で心をとらえるのが、

ドリーのあわてんぼうぶりに我慢ができなくなってしまうシーンと、

それを受け入れる心優しい仲間たちとの数々のシーン、

そしてドリーの両親の包容力

どんな子どもたちにも素晴らしい才能があり、

一人ひとりに個性がある。

それを認め、受け入れ、尊重していく周囲の温かさが描かれており、

筆者自身、この作品を観て学んだことは多くありました。

学校教育や家庭での子育てにも通ずるものが数多くあったからこそ

反響を呼んだのではないかと思います。

個人の課題解決能力を高めることも大切なことですが、やはり

周囲の人間も一人ひとりを理解していく必要があるんだろうな、

と感じさせてくれる作品でした。

これ以上はネタバレになりかねないので(笑)、今回はここまで。

気になった方はぜひご覧いただければと思います。

映画「フォレストガンプ」から障害を考える

筆者の大好きな映画の一つに、「フォレストガンプ」があります。

1985年に発表されたこの作品は、トム・ハンクスの演じる主人公「ガンプ」の半生を、

アメリカの歴史を交えながら描くストーリーです。

主人公のフォレスト・ガンプは知的指数が低く、

脚装具も身につけていますが、

母親はそれを特別扱いせずに彼を育てていきます。

というわけで、今回は

映画「フォレストガンプ」から

障害について考えてみたいと思います。

作中のあらゆるシーンに、ガンプの個性が色濃く描かれています。例えば、
・笑ったりするなどの表情をあまり出さない
・スクールバスに乗れない
(親から「知らない人の車に乗ってはいけない」と言われていた)
・アメリカ陸軍に入隊。銃の組み立てが誰よりも早い
・悪気はないのに、意図せぬところで人を怒らせてしまう
・臀部(おしり)にある被弾の痕を見せてほしいと言われ、人前で勢いよくズボンをおろしてしまう
・過去に起きたことを時系列順に詳細に覚えている
などなど。思い出しながら書いているだけで、また観たくなってきます(笑)
当時の表現としては「知的障害」と描かれていましたが、

一概には言えないものの、これらの特徴からガンプは

「自閉症スペクトラム」なのでは、とも考えられます。
※詳細は、「自閉症とは①」のブログに掲載しております。

自閉症とは①

一般の学校に入学ができたことから、

特別支援学校(養護学校)のような特別な支援が必要なほど障害がある、

というわけではなさそうです。

特定分野での人並外れた記憶力や能力、

言われたこと(ルール)に忠実に従う点などからも、

「自閉症スペクトラムなのでは」と考えることができます。
ちなみに、陸軍でできた親友「ババ」も、

実家のエビ漁に関しての知識がものすごく、

訓練中や掃除中にも延々とエビ料理について語っている場面がありました。

共通の感覚があったからこそ、二人の相性は良かったのかもしれません。
印象的なシーンは数多くありますが、

ここで光るのはガンプの「母親の愛」、

ガンプを認め受け入れる「仲間たちの愛」ではないかと思います。

人と違うことに対し特別扱いしせず、

ガンプの持つ優しさやひたむきさを認める点に、

ヒューマンドラマならではの温かさが感じられます。

そして、周囲と少し違った特性を持つガンプが、

あらゆる場面で輝けている点からは、

それぞれのもつ特性のポジティブな可能性を見出すこともできます。
たとえ人と違う「特性」を持っていようとも、

それを理解し受け入れ、特性があろうがなかろうが

すべての人が公正に生きていける世の中であれば、

そもそも「障害」という概念は必要なくなるのかもしれません。

フォレストガンプを観て幼心ながらに覚えた感動は、

大人になり様々な特性があることを知ってから、

り深いものとなりました。

皆さんも機会があれば、角度を変えて観返してみてください。

以上、映画「フォレストガンプ」から障害について触れてみました。

学校教育の目的とは

「学校=勉強するところ」

というイメージは、間違っていません。

学校のテストで満点を取れれば、

誰だって嬉しいと感じるでしょう。

しかし、学校教育とは

教科学習や教科知識を修得することのみを

目的としているのではありません

それらを通して何を学ぶかを、真の目的として掲げているのです。

今回は、学校教育の目的について簡単に解説したいと思います。

学校は何をするところ?と聞くと、「勉強するところ」という答えが一般的です。

何の勉強をするの?と聞くと、「国語」「数学」「英語」など、

教科を答えるのが一般的です。

何のために勉強するの?と聞くと、答えに詰まる人が出てきますが、

「社会に出て生きていくため」と答えるでしょう。

では、社会に出るために何故紙粘土で工作をするの?と聞かれたら、

どのように答えますか?案外困る方も多いのではないでしょうか(笑)

教育基本法における教育の目的は、

・教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。(教育基本法第一条)

とあります。学校教育に関しては

・小学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施すことを目的とする。

・中学校は、小学校における教育基礎の上に、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする。

・高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とする。

となっています。

加えて学習指導要領解説によると、

〇生きる力という理念の共有

〇基礎的、基本的な知識・技能の共有

〇思考力・判断力・表現力等の育成

〇確かな学力の確立

〇学習意欲や学習習慣の確立

〇豊かな心や健やかな体の育成

といった内容を基本的な考え方として、教育活動を行なっています。

単に「教育」と言っても、教育的活動が行われるのは

小・中学校、高校だけではありません。

教育に関する法律は、

教育基本法学校教育法の二つの柱から成り立っています。

教育基本法は、学校教育のみならず、家庭学習、社会学習、政治学習や宗教学習など、

「教育活動全般」について触れられています。

学校教育法では、文字通り「学校に関する教育活動」について触れられて、

それぞれの法律に教育活動を通じての「目標」が設定されています。

学校教育では、教育基本法及び学校教育法の両側面を有したうえで、

「学習指導要領」にそって教育活動が行われています。

学校で扱われる全教科及び特別活動等、

学校教育に関わる全ての活動には、学習指導要領により

「目標と内容」が示されています(学習指導要領については別ブログにて)。

ブログ「学習指導要領とは」

つまり、学校教育というのは、

教育活動全体を通じて上記項目を達成することを目的とし、

それらの目的を達成するために目標を設定している

ということですね。

学校とは、教科教育のみの場ではなく、

教育活動全般を通して生きる力を身につけ、人格形成を行なう場です。

 

「学校(の勉強)って、何のために行く(する)のかな…」

という考えが生まれたときは、

教育基本法、学校教育法、学習指導要領を開いてみる

整理がつきやすいのではないかと思います。

 

以上、学校教育の目的についてお話しました。

 

イラスト:ニョラネコ

学習指導要領とは

先日、平成34年度から実施される

高校学習指導要領改訂案が、

文部科学省より公表されました。

これまでのブログでも何度か、

学習指導要領という言葉がでてきましたが、

学校教育に携わっている方でなければ、

なかなか触れることのないワードでしたね。

これまで解説せずに進んできてしまいごめんなさい(笑)

今回は、学習指導要領について簡単に説明したいと思います。

学習指導要領とは、

文部科学省の作った「授業のガイドブック」

のようなものです。

小学〇年生はこの教科ではこれをこのように学びこれを身につけていく…

といったものが学習指導要領に記載されており、学校の先生はこの

学習指導要領に沿って授業を作成・進行していきます。

また、学習指導要領は

日本全国で同じものが使用されており、

どの地域でも一定水準の教育が受けられる

ようになっています。

学習指導要領は、小学校・中学校・高校のそれぞれの

各教科に大まかな目標が定められており、

校教育法施行規則で定められている

年間の標準授業時数を踏まえ、

地域や学校の実態に応じてカリキュラムが組まれています。

小中高の各学校、各教科の学習指導要領は、

一般的な書店でも販売されていることが多く、

値段も1冊150円程度と非常に安価で手に入れることができます。

国はどのような目的を持って学校教育を行なおうとしているのか、

それをもとに学校はどのようにカリキュラムを組んでいるのか、

といった意図を知る手段の一つとして、興味のある方は一度手に取ってみるのも面白いかもしれません。

学習指導要領は、

昭和33年以降約10年ごとに改訂されています。

新しい学習指導要領に関しては、

小学校では平成32年度、中学校では33年度より全面的に実施、

高校では34年度より年次進行で実施が予定されています。

また、「主体的・対話的で深い学び」(いわゆるアクティブラーニング)

アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)とは①

にも触れられ、

「何ができるようになるか」を明確化している点や、

小学校における外国語教育の充実、

プログラミング学習などの情報活用能力、

子どもたちの発達の支援についても、

今回の学習指導要領改訂におけるポイントとして挙げられています。

時代の変化とともに、教育に求められるニーズにも変化が求められ、

学習指導要領の改訂により時代に沿った教育方針が示されています

子どもと関わる機会の多い方は、日本の学びの在り方の理解に一歩踏み込むことで、

また一つ発見があるかもしれませんね。

 

以上、学習指導要領について解説しました。

 

イラスト:ニョラネコ

アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)とは②

以前のブログで、アクティブラーニング

とはどういったものか、

簡単に用語の解説をしました。

では、学校の授業や家庭での学習には、

具体的にどのように

アクティブラーニングが活用されているのか、

または活用されるべきなのでしょうか。

今回は、アクティブラーニングの活用例を挙げてみたいと思います。

以前のブログでも解説したとおり、

アクティブラーニングは「主体的・対話的で深い学び」

と言葉を改めています。

「主体的」「対話的」については、

どのように取り入れていけばよいのかは文言から想像することができますが、

それらとともに「深い学び」も実践していくことが求められます。

「深い学び」とは、例えば各教科で学んだことを

ただの知識として習得することだけを目的とするのではなく、

身につけた知識を実社会・実生活で活用し、

課題解決をしたり、自ら課題を見つけ出したりする

ことが求められています。

一つの例として、漢字の学習をあげるとします。

一般的に漢字の学習方法と言えば、

①教科書の新出漢字の書き方、読み方、使い方(意味)を教わる

②何度も書いて覚える

③テストで答える

といったルーティーンが思い浮かぶのではないかと思います。

この学習方法のメリットとしては、

団に教える側にとって効率的であることです。

全員が同じ内容を聞き、書いて練習することで、

クラス全員が同じ内容を学習し、全員同じ内容のテストを行うことで、

その授業での習熟度を「点数」という客観的な数値で計ることが可能です。

しかし、この方法はアクティブラーニング的でないことは、

お分かりいただけるかと思います。

前述通り、アクティブラーニングは「主体的・対話的で深い学び」

と言葉を改めています。

先ほどの方法では、主体性や対話の場面、学びを深める場面

なかなか生まれません。

受動的な内容よりも、子どもたちが対話などを通して

内容を掘り下げ主体的に学ぶことで身につけた知識を

「知恵」「技能」として活用できる

ようになっていくのです。

例えば、上記のような漢字学習の場合、

①書き方・読み方・使い方(意味)を教える

→漢字の部首やつくりから、何と読むか、どんな意味かを

想像してノートに書き、周囲と共有

→なぜそう思ったかを発表&意見交換

②何度も書いて覚える

→学習した漢字・単語を使った熟語や作文を作る

③テストで答える

+子ども同士の答え合わせやアンケートなどで振り返りを行なう

などなどです。

これらの工夫を取り入れることで、

子どもたちの学習活動が大きく活発化することが見て取れるかと思います。

もちろん、例に挙げた以外の学習方法も数多く存在し、実践されていることでしょう。

「毎回そんな準備をする余裕はない」

「子どもが中心になってしまっては授業(勉強)が成り立たないんじゃ…」

「今までの方法の方が身につくのでは」

などの不安が生まれるかもしれませんが、アクティブラーニングは

週に1回取り入れる程度でも、授業や学習活動にメリハリ

が生まれるので十分でしょう。まして、子どもたちが

主体的に(ある意味では「勝手に」)深い学びを進めていける

のであれば、教えるのではなく、

学びの方向性を示すだけで良いので、

非常に効率的な学習活動を展開できるようになります。

また、学習するうえで重要なのは、

学習活動における目標設定を確実に行うこと、そして

子どもたちと共有することです。

何について学ぶ(学んでいる)のか、

なぜ学ぶのかを子どもたちに伝えることで、

子どもたちは学習のポイントに注目した状態で学習に臨む

ことができ、学習の定着度は大きく変化します。

学校での授業はもちろん、家庭での学習に関しても共通して言えることでしょう。

これらのポイントを押さえ、気軽な気持ちでアクティブラーニングに挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

以上、アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)の活用例について解説しました。

 

イラスト:ニョラネコ

 

アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)とは①

学校の授業で、「楽しかった」「まだ覚えている」

といった内容には、どんなものが思い浮かびますか?

実験や工作、球技などいろいろあるかと思います。

体を動かしたり、体験的な学び方をしたりすると

身につきやすいと言われています。

そこで今回は、近年注目される「アクティブラーニング」

について解説していきたいと思います。

いわゆるアクティブラーニングは、

「主体的・対話的で深い学び」と言葉を改め、

次期学習指導要領案に記載されています。

子どもたちがどのように学ぶかに着目し、子どもたちが主体として学び、

生きる力を身につけていくための教育手法を指します。

「授業」の一般的な形としては、教員が前に立ち、黒板に授業内容を書きながら説明し、

子どもたちはノートを取ったり問題を解いたり発表をしたりする、

いわゆる「講義形式」が挙がるのではないかと思います。

1つの教室に40人近い子どもたちが集まり知識を得るためには、

一番効率の良い方法と言えるでしょう。

しかし、近年の子どもたちの現状については、

国内外の学力調査(全国学力・学習状況調査、PISAなど)などの結果から、

学習したことを活用して自分の考えをまとめたり、

根拠や理由を明確に説明したり、

物事を分析し自分の考えに生かしたりする力に課題がある

との指摘もされています。

 

また、文字の読み書きはできても、書かれた内容の理解や活用ができない

「機能的非識字」状態にある子どもが増加しているとも指摘されています。

こうした指摘から、現代教育の課題として、

知識を身につけても知恵として活用できる能力が身についていないのでは、

という懸念がされているのです。

そこで、これまでの受動的な学習方法から、子どもたちの能動的な学びを促し、

あらゆる課題解決能力を身につけていくことを目的として、

アクティブラーニングを導入しようという考えが中央教育審議会で強まったのです。

アクティブラーニングの方法としては、例えば、

・教員が説明する時間を減らし、子どもたちが考え行動する時間を増やす

・実験などの体験的な学習を増やす

・対話の機会を増やし課題に協同で行なったり、議論をしたりする

・反転授業(例:家庭で予習、学校で復習)

など、この他にもありとあらゆるものがあります。

アクティブラーニングの導入に関しては様々な意見がありますが、

将来の社会を築いていく子どもたちに「生きる力」を身につけさせていくことは、

学校だけでなく社会全体の責任でもあります。

子どもを取り巻く大人たち全員で様々な方法を吟味しながら、

将来を担う人財を育てていきたいですね。

 

以上、アクティブラーニングについて簡単に解説しました。

 

イラスト:ニョラネコ

ICTを活用したLD傾向の子どもへの学習支援

以前のブログで、

ICTを活用した学習支援や不登校支援

についてお話ししました。今回は、

ICTを活用したLD(学習障害、以下LD)傾向の子どもへの学習支援

についてお話ししたいと思います。

ICT機器の大きな特徴の一つとして、

音声や写真・動画などを記録(記憶)することに力を発揮

するものが多くあると言えるでしょう。これらを活用することで、

・メモの代わりに録音機器に声で録音する

・スマートフォンなどのカメラ機能で板書された内容を

一時的に写真で保存する

など、LDを抱え、読むまたは書くことに困難をきたしている方にとって

有効な支援のツールになる場面が増えてきています。

徐々にではありますが、LDのお子さんへの具体的な支援方法として

学校教育に取り入れているところもあります。

また、文字を書くことが苦手でも、

キーボード入力ならスムーズにできる

といったケースも少なくありません。書字障害を抱えた方が、

国立大学のAO入試にパソコン(ワープロソフトでの文字入力)を使用

することを認められ、見事合格することができた、といった例もあります。

LDとは別の種類にはなりますが、人前で発言をすることが苦手だったり、

発声障害や緘黙(かんもく)などを抱えていたりする場合には、

・自分の意見をICT機器などを用いて文字にし、

 画面に表示して相手に伝える

・タブレットなどを利用してアンケートに答え、

 アンケート結果をスクリーンに匿名で表示する

・クイズ番組のように答えを一斉表示するなど、

 コミュニケーションをとりつつ学習活動に参加する

ことも可能にします。

しかし、ICT機器の導入には

非常にコストがかかることや、

ICT活用教育に理解が完全に浸透しているとは言い難い

といった課題が残っています。

「みんなは書いて覚えているのに不公平ではないか」

「ほかの人よりも多く書いて覚えればよいだろう」

教育現場や周囲からの意見として、こうした声も耳にすることがあります。

しかし思い返してみれば、

打ち合わせ内容をカメラで撮影したり、

ケータイでメモを取ったり、

会議の内容を録音したりする

ことは、近年では珍しくない光景になってきました。

本人の特性を考慮(合理的配慮)したツール・環境を必要に応じて利用したり、

目的を達成するためにツールを工夫したりすることは、

大人だけではなく子どもにも必要と言えるでしょう。

こうした課題を解決するために大切なのは、

周囲の大人がしっかりとその子どもを理解し適切な支援を行うこと

ではないかと思います。

担任の先生からICT機器の使用を提案したり、

保護者の方から事情を説明して機器を使用する許可を得たりする

など、周囲がその子どもを理解し、柔軟な対応をしていく必要があります。

また、授業を担当する先生は、

周囲の生徒から理解を得るための努力も必要ですし、

保護者の方からもなぜ、どのように使用するかを説明する

必要があります。また、LDの子だけでなく

すべての子どもが学習方法・ツールを柔軟に選択・使用できる環境

整えていく必要もあると言えるでしょう。

その子にとって、何が必要でどうするべきかを考えることは、

その子だけを特別扱いしているのではなく、

個を尊重する上での一つの配慮である

ということを、しっかりと理解しておきたいですね。

 

イラスト:ニョラネコ

発達障害と有名人

少し前の話になりますが、

「発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由」

という本が話題となったことは、記憶に新しいのではないかと思います。

ファッションモデルの栗原類さんの著書で、

「発達障害」という言葉が世に広く知れ渡る一つのきっかけとなりました。

人とは違う感性を持っていたからこそ、他から抜きんでて活躍できたのかもしれません。

そこで今回は、「発達障害と有名人」について解説したいと思います。

以前のブログでも解説しましたが、

発達障害(と思われる)児童・生徒の割合は、

小中学生全体のおよそ6.5%に上るだろうと言われています(文部科学省調査)

今でこそ、発達障害という言葉や概念が少しずつ認知されるようになってきてのこの数値ですので、

場合によってはこの割合はもっと多い可能性もあります。

発達障害は現代病の一種ではなく、今も昔も存在していました。

「もしかして、小学生の頃に同じクラスだったあの子って…」

と、思い当たる節があるのではないでしょうか。

では、もっとさかのぼってみたらどうなるのでしょうか。

実は、発達障害を公表している有名人や、

「発達障害を抱えていたのでは」と思われる偉人が数多くいるのです。

たとえば…

【発達障害を公表している有名人】

・栗原類…ADD

・黒柳徹子…計算障害、ADHDなど

・ミッツ・マングローブ…LD(学習障害)

・オーランド・ブルーム…ディスレクシア(読字障害)

・トム・クルーズ…ディスレクシア(読字障害)

・ウィル・スミス…ADHD

 

【発達障害だったのではとされる偉人】

・坂本竜馬…ADHD

・織田信長…アスペルガー症候群

・レオナルド・ダヴィンチ…ADHD

・トーマス・エジソン…ADHD

・アルバート・アインシュタイン…ディスレクシア(読字障害)

 

などなど。

「えっ、あの人が!?」という人物もいたのではないかと思います。

発達障害と聞くと、マイナスなイメージを抱きがちかもしれません。

しかし、発達障害を抱えながら活躍されている有名人や過去の偉人たちは、

自分の持ち味を生かせる仕事を見つけ活躍しています。

人とは違った感性を持っているからこそ、

他の人にはできないことができる、

突出して輝ける場面がある、

とプラスにとらえることで、新たな可能性が見えてくるかもしれませんね。

 

以上、発達障害と有名人についてのお話しでした。

 

イラスト:ニョラネコ