通信制高校・技能連携校とは

以前のブログで、高校の種類について解説しました。

平成28年度の高校進学率は、98.7%に上ります。

そのうち、全日制高校への進学率は96.6%となっています。

つまり、高校進学者のほとんどが全日制高校へ進学している、

という結果になります。

しかし、不登校経験者や、発達障害を抱えている生徒の多くは、

「集団が苦手」

「授業についていけない」

「通学のリズムが整えられるか不安」

などの悩みを抱えていることが多く、

全日制の高校にはなかなかマッチしない傾向があります。

そこで今回は、多様なニーズに応える「通信制高校・技能連携校」について解説したいと思います。

 

通信制高校では、

学校に3年以上在籍し必要単位数74単位を修得すれば、

全日制の過程と同じ高校卒業資格が取得できます。

ただし、最終学年に達した時点で、必要単位数の不足があると卒業できずに留年

することになります。

なお通信制高校には、広域制狭域制があります。

  • 広域制…他県から等、広い範囲から入学できる。私立の多くは広域制だが、狭域制もある。
  • 狭域制…狭い範囲(一つの都道府県もしくは隣接する1つの都道府県からのみ)からのみの入学となる。公立高校は、全て狭域制となる。

通信制の学校で単位を修得するには

RST(R:レポート、S:スクーリング(面接指導)、T:テストの3つ)が必要

になります。

レポートやスクーリングは教科によって

その枚数や時間が決まっていてそれを満たすことが必要です。

しかし、レポートやテストを一人でどんどんこなしていければ良いのですが、

そう簡単なことではありません

そこでサポート体制として、現在では全日制のように毎日登校できたり、

登校日数を選べたりする通信制の学校もあります。

スポーツや芸術に特化したり、不登校や発達障害に対する理解や支援があったりと、

多彩かつユニークなカリキュラムが組まれ、

生徒たちの興味関心に応じるように工夫がされてきています。

また、通信制の学校と連携をして高校卒業資格が取得できる

技能連携校という教育施設があります。

技能連携校とは、都道府県教育委員会に指定された教育施設です。

通信制の学校に同時入学という形をとり、

工業や商業などの専門科目と普通科目の両方を学ぶことになります。

ここで面白い所が、

専門科目の修得単位が通信制の学校の単位として認められ、

普通科目と合わせて74単位を修得すれば高校卒業ができる、

という仕組みです。

全日制同様、週5日登校のところがほとんどで、

柔軟なカリキュラムのもとで社会進出に向けた学習活動を行なっています。

なお、技能連携校は教育施設として正式に認めらており、

施設内でスクーリングやテストを受験することも可能です。

これら通信制高校や技能連携校は少人数制であることも多いため、

不登校や発達障害を抱えた生徒へのケアや手厚いサポートが可能

な校舎も多くあると聞きます。

登校に不安や悩みがある場合は、一つの選択肢として視野に入れておくと良いかもしれせん。

高校の種類だけでもある程度把握できれば、納得のいく進路選択・実現ができるかもしれませんね。

以上、通信制高校・技能連携校について解説しました。

 

 

イラスト:ニョラネコ

高校の種類について

夏休みも半ばを過ぎ、いよいよ新学期ですね。

中学3年生にとっては、卒業後の進路に向けて

本格的に活動していく時期かと思います。

小学校から中学校へと進んだ後に選ぶ進路として、

最も多く選択されているのは「高校進学」。

平成28年度の高等学校等への進学率は98.7%という数字に達しており、

中学卒業=高校進学という考え方が、現代ではかなり浸透していると言えます。

そこで今回は、高校の種類について解説したいと思います。

通常、進学する高校を選ぶ際には、

学力、校風、卒業後の進路状況から選んだ本人の希望と、

家庭及び学校とで相談・面談を重ねながら判断することになります。

過去と比較すると、現在世の中の多様な価値観や生き方に応えるべく

々な形態の学校が存在しており、

子どもの状況に応じたカリキュラムが組まれるなどの

配慮もされてきています。

それぞれの学校の特徴を知った上で納得の進路が決められることが

一番良いことだと思います。

高校には、大きく分けて

全日制、定時制、通信制

の3種類があります。(以下に簡単に説明をします。)

●全日制高校
・一番馴染みのある高校と言える。3年制
・授業は1コマ50分、1日6~7時間の週5~6日
・朝登校、夕方下校
・勉強をメインに考えている生徒が多い

●定時制高校
・卒業までは基本4年間かかる
・授業は1コマ45分、1日4時間が主流
・夜間部が主流だったが、現在は午前部、午後部もある
・働きながら通う生徒が多い

●通信制高校
・基本は3年間で高校卒業資格を取得する
・授業は年に数回。基本は自宅でレポートに励む
・登校日数を選べる通信制高校が増えている
・勉強以外にもやりたいことがある、集団や通学に不安がある生徒が多い傾向にある

 

学校の種類による違いは、大まかに説明するとこうなります。
いざ高校を選ぶとなると、
「どの高校が自分に合っているのだろう」
「自分に行ける高校があるのだろうか」
といった不安を抱える人もいるかもしれません。


同様に、我が子の状況を見て、

どこが良いか、何をすれば良いか

悩む保護者の方も多いと思います。
学校の種類による特徴はあっても、学校によって雰囲気や特色は異なりますので
まずは情報を収集したり、自分の目で確かめたりしながら、
進学したい高校を選択することが良いでしょう。

高校生活は、中学生活に比べてとても速いスピードで「社会」が近づいてきます。
進みたい進路や将来像がはっきりと決まっている人もそうでない人も、
責任ある選択ができるように準備を整えていきたいですね。

次回以降、「高校」についてさらに深く掘り下げてみたいと思います。

 

 

イラスト:ニョラネコ

 

学び方教室BB説明会の実施について

弊団体の運営する「学び方教室BB」が、9月にプレオープンすることとなりました。

それに伴いまして、8月26日(土)、「学び方教室BBの説明会」を行ないます。

詳細は以下の通りとなりますので、ご興味ご関心をお持ちの方はぜひご参加いただければと思います。

ご不明点・ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

何卒よろしくお願いいたします。

 

【学び方教室BB説明会】

・日 時:8月26日(土)

 ⑴10:00~11:00

 ⑵13:00~14:00

※どちらの時間も、終了後に個別相談の時間を設けております。ご希望の方はお申し出ください。

・場 所:地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ)1階研修室

     JR本郷台駅より徒歩3分

・費 用:無料

・定 員:30名(定員になり次第締め切り)

・申込み:ご希望の時間帯をお選びの上、HPまたはお電話にてお申込みください。

 

 

第3回 不登校・発達障害に関する研修会実施について

●目的:①不登校や発達障がいの基本的な知識や支援方法を学ぶ

     ②適切な支援方法の創造力とチームでの探求力を養う

●内容:午前…基礎講座 オリジナルテキストを使用した講義・解説

     午後…応用講座 グループディスカッションによる事例学習

●対象:大学生(教育・医療・心理関係)、家庭教師、塾講師、保護者、シニアなど

●日時:平成29年9月9日(土)10:00~15:00

●場所:地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ)研修室

●費用:一般…3,000円 学生…無料

●申込:HPお問い合わせフォームより

https://seeds-app.com/

 

以上の内容で研修を行ないます。

ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

LDとは②

前回は、LD(学習障害、以下LD)の特徴について説明しました。

こうした特性を抱えていても、対応や学び方を工夫することで、

症状を少しずつ改善したり、学びやすくしたりすることは可能です。

今回は、LDの子どもへの配慮や対応の仕方について解説していきます。

 

・「読む・書く」の困難について

→文字の拡大やマス目のノートの使用など、

読み(書き)やすくする工夫をする

×「とにかく書いて(読んで)覚えましょう」

〇読み・・・単語と単語の間を空ける、行間を広くする、など

 書き・・・大きいマス目のあるノートを使う、ノートの代わりにタブレットを使う、など

…小さい文字や潰れた文字は大きく拡大することで、読みやすさが飛躍的にアップします。

 読む・書くこと自体も大切ですが、「知識を活用できるようになること」が一番大切です。

 

・「聞く・話す」の困難について

→会話は短く端的に。メモや機器を使って

聞き(話し)やすくする工夫をする

×ざわざわした環境での会話、長い説明など

〇静かな環境で話をする、メモやボイスレコーダーなど聞き(見)返せるようにする

…メモを取る習慣は、大人になっても有効ですね。話がまとまらないときは、聞き手側がある程度リードしつつ、話の順序立てをスモールステップで教えてあげると良いでしょう。

 

・「計算・推論」の困難について

→目で見て、イメージしやすくする

×「この問題はここがこうなるよね、じゃあ次は…」

〇問題にイラストなどを添える、解説動画を見せる、など

…図のように、ひっ算の補助線を引くことで、どの数字がどこに来るかが整理しやすくなります。

 

などなど。

現代では、スマートフォンやタブレットなどのICT機器の普及が進み、さまざまな場面で

学習の補助ツールとしてICT機器は活用されています。(後日解説)

カメラやタイピングなど、ICT機器は生活の場面だけでなく

LDの子どもたちにとっても非常に有効に

活用できる機能は数多く搭載されていますので、

必要に応じて学習活動に取り入れてみると良いでしょう。

その他、スウェーデンで開発された

ワーキングメモリ(短期記憶)トレーニングの研究では、

ワーキングメモリの改善とともに、知能など他の認知機能の改善、

不注意や多動など行動・症状面の改善効果があることが証明

されており、こちらを活用するのも有効かもしれません。

しかしながら、これらは決して1回だけでは効果は表れるとは言えません。

改善への道には、継続的な取り組みが不可欠です。

効果が出るまで、その子に合った方法で、長い目で支援する必要があります。

また、LDによる困難があるからといって、

なんでもかんでもやってあげることが

必ずしも子どもにとって良いとは限りません。

場合によっては、社会自立への道から遠ざかってしまう…そんな懸念もあるからです。

社会で生きていくために、本人に合った学び方を身につけ、

少しずつできることを増やしていけると良いですね。

 

以上、LDの子どもへの配慮や対応の仕方について解説しました。

 

 

イラスト:ニョラネコ

【実施報告】7月29日(土)「第2回 不登校・発達障がいに関する研修会」

7月29日(土)、不登校・発達障がいに関する研修会を開催しました。

大学院生、保護者、教員経験者など、子どもたちと関わる多くの方々にご参加いただきました。

午前の部の講義形式に午後の部のグループディスカッションと、

ボリューム満点の研修に、参加者の皆さんは積極的に意見交換をしながら参加していました。

 

「色々な立場の人と意見を交わすことができ、今までにない視点に気付けた」

「今回学んだことを、家庭での子どもとの関わりに生かしたい」

などの意見を多くいただき、大変うれしく思います。

皆様にとって、充実した研修となったなら幸いです。

また、我々にとっても多くの気づきが生まれた研修となりました。

本研修へのご参加、ありがとうございました。

LD(学習障害)とは①

誰にでも、スポーツや勉強などに得手不得手や好き嫌いは多少あることかと思います。

また、それらが苦手でコンプレックスを抱えている方もいるかもしれません。

ひとえに「勉強が苦手」といっても、

「英語が苦手」「歴史が嫌い」とはまた別に、

「会話はできるのに、文字は読めない(書けない)」

「極端に物覚えが悪い」といったケースもあります。

そこで今回は。「LD(学習障害)」について解説したいと思います。

 

LD(学習障害、以下LD)とは、

「基本的には全般な知的の遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する能力のうち特定の者の習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、情緒障がいなどの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない」

と定義されています。(文部科学省より)

知的な遅れはないものの、努力してもなかなか学習効果が上がらず

苦しい思いをしていることがあります。

また、特定の領域において苦手が顕著に表れることが原因で、

本人の努力不足だとあらぬ誤解を受けることもあります。

 

LDの特徴は、以下のようにまとめられます。

 

1.「読む・書く」の困難について

・文字がはっきり読めない(動いて見える、逆さに見えるなど)

・単語と単語の意味がつながっていない

・書くのが遅く、一生懸命ノートを取っている途中で黒板を消されてしまう

 

2.「聞く・話す」の困難について

・聞きたい音が聞き取れない

・自分の考えを整理できず話が続かない、言いたいことが言えない

・聞いた話を覚えておくことができない

 

3.「計算・推論」の困難について

・繰り上がりの計算ができない

・図形の辺の長さや面積の広さを推論したりすることができない

・表やグラフの意味を読み取ることができない

 

などなど。

文字を書く際に枠からはみ出してしまったり、

物の大きさや広さ、奥行きなどをイメージできない場合は、

空間認知の力が低いためと考えられます。

また、板書(黒板に書かれた内容)を書き写すことが苦手な場合は、

「見て→覚えて→書く」ための「覚える」力

短期記憶(ワーキングメモリー)の能力が低いためとも考えられます。

 

前述のとおり、全般に知的な遅れがなく、ある分野だけが極端に苦手なケースが多いため、

「なまけている」「やる気がない」などの誤解を受けやすい

ところも難点です。

また本人も、

「他のことはうまくいくのに何故これだけができないのか」

と、原因がわからずモヤモヤしていることも少なくありません。

特に子どもの場合、なかなか「LD」という言葉に直接触れる機会もないため、

大人になってから他の人との感覚の違いを初めて知る

ケースも多いと言われています。

ある調査では、

「9歳までに適切な教育が受けられなかった子どもの場合、そのうちの実に70%が読みのつまずきを生涯持ち続ける可能性がある」

ことが報告されています。※National Center for Learning Disabilities,2004

 

では、どのように対応するべきなのでしょうか。

次回、LDの子どもへの配慮や対応の仕方について解説していきます。

 

 

イラスト:ニョラネコ

ADHDとは②

前回のブログでは、ADHDの特徴について解説しました。

たとえばADHDの特性が表れた場合、ついつい声を荒げてしまったり

むりやり事態を収束させようとしたりしがちなケースをしばしば見かけます。

しかし、これでは本人のフラストレーションが溜まる一方で、

課題を解決することは難しいでしょう。

では、どのようにして対応すればよいのでしょうか。

回は、ADHD傾向にある子どもへの配慮や対応の仕方

について解説したいと思います。

 

・なくし物、忘れ物が多い

→チェックリストを作り、一緒に確認する習慣をつける

×「明日の準備は終わったの?」「なんでまた忘れてるの!」

〇「明日の持ち物チェックいくよー!上履き!」→「ある!」→「体育着」→「OK!」

…習慣づけられるまで、根気よく継続しましょう。楽しさを加えるとGood!

 

・とにかくじっとしていることが苦手

→体を動かせる場面を与える、時間を区切るなど

×「大人しくしていなさい!」「じっとできないなら〇〇へ連れていくのやめるよ!」

〇「これ運ぶの手伝ってくれると助かるなぁ」

「あと〇分間、座っていられるかな~、スタート!」

…「手伝いなどで体を動かす→役に立てる→褒められる」

 「小さな課題→できる→褒められる」など、

 これらを繰り返すことで自信がつき、良い行動が増えていきます。

 

・考える前に体が動いてしまう

→事前に意識づけを行なう

×「いきなり道路に出たら危ないに決まっているでしょ!」

〇「道路に出る前には、一度止まって車が来ないか左右を確認すること!」

→テレビなどの映像で動機づけができると印象に残り、衝動的な行動を抑えやすくします。

 

などなど。

基本的にどんな子どもも一緒ですが、

褒める場面をたくさん作ることを心がけることが大切です。

叱られた記憶よりも、褒められた記憶の方が残りやすく

行動改善の近道になります。

危険行動など叱らなければいけない時には、

簡潔に、要点を絞って伝えましょう。

 

また、何かと悪い点ばかりに目を向けがちになってしまいますが、

ADHDの特性を持つ人は行動力が高く、

様々なことに興味を持って挑戦できる才能を持っています。

たくさんのことに挑戦するということは、

それだけチャンスをつかむきっかけが多いということです。

過去の偉人にも「ADHDだったのでは?」と言われている人も多く、

その行動力の高さが周囲に大きな影響を与えていったと考えられます。

 

こうした配慮や対応の仕方を知ることで、

子どもが持つ本来の可能性を見出しやすくなり、

のびのびと成長するきっかけになるのではと思います。

もちろん、これらの方法がすべての子どもに当てはまるとは限りません。

だからこそ、一人ひとりの子どもを理解することが大切なのですね。

 

以上、ADHDの傾向にある子どもへの配慮や対応の仕方について解説しました。

 

 

イラスト:ニョラネコ

 

ADHDとは①

これまでは、発達障害の種類として、自閉症スペクトラムに分類される

「自閉症」「アスペルガー症候群」について解説してきました。

今回は、ADHDについて解説したいと思います。

 

ADHD(注意欠陥多動性障害)は、

何らかの脳の機能障害によってドーパミンが不足していることが原因と考えられており、

じっとしていることが苦手、衝動的に行動してしまう

などの特性が見られます。

特徴としては、以下の3つが挙げられます。

 

「不注意」

…気が散りやすく、忘れっぽい。集中力を長時間継続することが困難

・なくし物や忘れ物が多い、整理整頓が苦手

・話しかけても聞いているのか聞いていないのかわからない(上の空)

・周囲を見ることなくそのまま道路に出てしまう

・簡単なミスが多い(計算ミス、誤字や脱字)

 

「多動性」

…とにかくじっとしていることが苦手

・授業中でも立ち歩いたり、じっと座っていられず周りに話しかけたりする

・話の内容がころころ変わる

・(相手の話を聞かずに)一方的に話してしまう

 

「衝動性」

…気持ちや欲求をコントロールしにくく、考える前に体が動いてしまう

・順番を守らずに横入りしてしまう

・気になる物を見つけて道路に飛び出してしまう

・授業中、質問が終わらないうちに挙手をせず答えてしまう

・邪魔をされると泣いたり怒ったりするなど癇癪をおこすことがある

 

これら3つの特徴のうち、全部を有している、またはどれか一つが特に強いなど、

人によって症状は様々です。

店内を走り回る子どもや、忘れ物が多かったり、机の中がぐちゃぐちゃだったりするなど、

一見本人のなまけに思われやすい特性が多くあります。

前述したとおり、ADHDは脳機能の何らかの障害によるものと言われており、

親のしつけのせいでも、子どものなまけでもないのです。

忘れものをしないようにしても、じっとしていようとしても、

それを実行できない本人が一番困っているのでは

ということを忘れてはなりません。

「なぜ自分はいつもうまくできないんだろう」という悩みがきっかけで、

不登校傾向になっていくケースもあります。

ちなみに、アメリカの精神学会の診断基準では

ADHDの割合は5%とされていますが、アメリカ政府の統計では

ADHDと診断されている子どもの割合は11%と発表されています(2012年)。

かといって、

「あの人(子)はADHDなんだろう」「私はADHDなのかも」

決めつけるのは適切ではないでしょう。

ただ忘れっぽいだけ、集中力がないだけの場合との線引きは、

自分一人の主観になってしまうとなかなか判断できないものです。

気になったり、日常や学校生活に支障があったりするようであれば、

専門医への相談をしてみるのも一つの手段です

早期の相談が日常生活を過ごしやすくするきっかけが得られるかもしれません。

 

次回は、ADHDの特性を持つ子どもへの配慮や対応の仕方について解説します。

 

イラスト:ニョラネコ

7月16日(日)神奈川県サッカー協会講演

7月16日(日)、神奈川県サッカー協会で行われた、サッカー指導者を指導するリーダーの皆さんの講習会の中で、「発達支援に関する講習」を40分ほどお時間をいただきお話しさせていただきました。

日頃のサッカーの活動の中でも、「発達特性」といった特別なニーズがある、

という視点をもって子供たちに接してほしいという講演の内容でしたが、

受講していただいた皆さんに真剣に耳を傾けていただき、後半には多くの質問をしていただきました。

此度の講演が、少しでも皆様の指導のお役に立てればと思います。

貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。